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2014 年度 実績報告書

重要文化的景観の選定・運用に関わる公益との調整シナリオの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 25289215
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

小野 芳朗  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50152541)

研究分担者 岩本 馨  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 講師 (00432419)
中嶋 節子  京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (20295710)
清水 重敦  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40321624)
中川 理  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60212081)
山口 敬太  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80565531)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード文化的景観
研究実績の概要

1.賀茂川水系の未選定地の水利権について明らかにした。京都市上下水道局が水利権申請を国土交通省に申請し、水道水源、灌漑、防火、通過水という分類でなされている。また、琵琶湖疏水を中心として、代表者が委員を務める策定委員会で文化的景観の申請がなされた。この過程で、京都市上下水道局の有する疏水とその水面の選定をめぐり、文化観光局と利害の対立が生じたが、委員会において、関係者が一堂に会し、選定範囲に関する調整が行われた。
2.長浜市、東近江市など琵琶湖沿岸の自治体における景観保全の調査と研究が行われた。長浜は、特に市内に点在する日本庭園が知られておらず、この成立の調査と、景観資源としてどのように公知していくかの課題が取り組まれた。東近江事例調査では、将来の文化的景観申請に向けての要素抽出の作業が展開された。
3.昨年度に引き続き、文化的景観に選定されている地区の利害調整の調査を行った。ひとつは、平戸市である(平戸市文化交流課 植野健治氏)。平戸は「隠れキリシタン」の地として著名だが、高齢化によりキリシタンの人口が減少しつつある。これらの遺産群と、明治以降のカトリック教会群がある。これらを長崎県広範に広がっているものをまとめて、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として、先ごろ国からユネスコへ世界遺産として推薦することが決まった。建造物なので景観保全とは多少異なるが、そもそも長崎の特徴であった教会建築ということで、利害の対立はほとんどないと考えられた。いまひとつは、長崎市外海の石積集落景観で(長崎市世界遺産推進室 中野智文氏)、行政に文化的景観、世界遺産登録の担当はほぼ一人、これが景観整備活用委員会を構成し、そこに学識経験者(考古学、景観、建築、緑地)と、地元自治会長、協会評議会など地元代表と調整していく方法をとっていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最大の労力をかけねばならないところは、文化的建艦に選定された地区での、開発と保全の利害調整の取材にある。今年度、平戸と長崎、昨年度、四万十川、熊本阿蘇山ろく棚田、天草を調査し、これに京都市岡崎地区を加え、データは六ケ所に及んでいるためである。

今後の研究の推進方策

6か所のデータを、比較し、調整のための必須条件を抽出するための作業を始める予定である。現状でのヒアリングの結果であると、円卓に利害関係者をつけることによって、ことは進められるようであるが、円卓につけることそのものにかなりの行政担当者の尽力が垣間見られる。また、文化的景観選定が、将来の世界遺産に結び付いていくという共通の夢を利害関係者が持てるかどうか、など、地域のエンカレッジ、エンパワーしていくという共同性には、地域によって差異が認められる。とくに京都のような観光資源が豊富な都会と、過疎に苦しむ地方とでは、それが懸絶している感があるが、これらをまとめていくことが最終年度の課題となる。
この観点から、都市と地方の文化的景観には差異があることから、都市の事例の最初であった金沢市を調査することを考えている。

次年度使用額が生じた理由

26年度にもう一か所、金沢を計画していたものが、先方の都合と当方の予定があわず、キャンセルになった。その調査費用が433,149円繰り越した。

次年度使用額の使用計画

27年度に都市の文化的景観の例である金沢調査を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 天皇の風景‐瀬戸内海離島の郷土宣揚策2014

    • 著者名/発表者名
      小野芳朗
    • 雑誌名

      瀬戸内海

      巻: 67 ページ: 42-47

  • [雑誌論文] 国立公園の風景型‐田村剛の視線2014

    • 著者名/発表者名
      小野芳朗
    • 雑誌名

      ランドスケープ研究

      巻: 78(3) ページ: 214-217

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公開日: 2016-06-01  

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