本研究では、水溶媒の誘電率効果を考慮した量子力学計算を行い、ハイドロキシアパタイト(HAP)表面構造および表面修飾イオンの熱力学的安定性評価を行った。また、HAP表面に希薄にイオン添加したモデル試料を用い、添加イオンの電子・原子構造を実験解析し、理論計算結果と比較検討した。修飾イオンとしてはZn2+、Mg2+を検討した。その結果、Zn2+およびMg2+はともに表面偏析する傾向にあるが、その安定性はZn2+の方がより顕著であった。Zn2+は4~5配位構造、Mg2+は5配位構造となり、Zn2+は最近接酸素イオンとより共有結合的な化学結合を形成していることがわかった。
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