研究課題/領域番号 |
25289228
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西山 憲和 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (10283730)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カーボン / ナノ細孔 / キャパシタ |
研究実績の概要 |
均一細孔を持つ多孔性カーボン材料の合成手法として、界面活性剤が自己組織的に形成するミセルを鋳型剤として利用する「有機鋳型法」が注目されている。多岐に渡る用途へ応用するためには、細孔径や細孔構造の緻密な制御は必須の要素である。 本年度は、メソポーラスカーボンの細孔径の制御に関する研究を行った。 界面活性剤を利用する「有機鋳型法」と「溶媒揮発法」を組み合わせる手法を開発した。溶媒をエタノールから水/エタノールの混合溶媒に変更することで、溶媒揮発法を行った。炭素源となるレゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂と鋳型となるPluronic F127からなる有機複合体を合成し、これを炭化することで、細孔径を6.8nmから56nmへと大きく変化させることに成功した。電子顕微鏡観察の結果から、細孔構造はカーボンが連結した構造から細孔が共連結した構造へと変化していることが明らかになった。溶媒を変更することで、ミセル相から逆ミセル相への相変化が誘起され、その結果、細孔径、細孔構造を大きく変化させることに成功した。 また、前述の溶媒揮発法を利用し、炭素源となる有機複合体を合成し、この有機複合体に対してKOH処理を行うことで、細孔径が2nm程度のナノポーラスカーボンシートの合成に成功した。この合成時に、一定量以上のKOHの利用が必要であることが分かった。KOHの加熱から生成する水により、加熱中に界面活性剤であるF127のミクロ相分離が起きたと考えている。また、得られたカーボンに対して水からの炭化水素(アセトン、エタノール、ブタノール混合溶媒)の吸着分離性能の評価を行った。結果、ブタノールに対して高い選択性を示し、吸着剤として利用可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、5-6nmの均一メソポーラスカーボンの合成と細孔径の制御を計画していたが、さらに幅広く細孔径を制御できる手法を見出した。自己集合の条件を変えることにより、50nmの細孔をもつものや、2nmの均一細孔を有する高表面積カーボンの合成に成功した。これらは、キャパシタ電極材料として有望であり、引き続き、これらのカーボン材料の電極特性について検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
2nmの均一細孔を有する高表面積カーボンの合成に成功しており、今年度は、キャパシタ電極材料として電極特性について検討を行う。これまで水系のキャパシタ測定を中心に行ってきたが、有機系でのキャパシタ測定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2nmの均一細孔を有する高表面積カーボンの合成に成功した。これまで水系のキャパシタ測定を中心に行ってきたが、有機系でのキャパシタ測定を進める必要があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
有機系でのキャパシタ測定を行うため、グローブボックスを購入する。
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