活性炭に代表される多孔性カーボン材料は、新規な触媒材料や電極材料、吸着剤としての応用が期待されている。特に、均一細孔を持つカーボン材料は、活性炭より優れた分子選択性、拡散性能を示すため、その合成手法の確立、およびその応用分野への幅広い展開が期待されている。 均一細孔を持つ多孔性カーボン材料の合成手法として、界面活性剤が自己組織的に形成するミセルを鋳型剤として利用する「有機鋳型法」が注目されている。多岐に渡る用途へ応用するためには、細孔径や細孔構造の緻密な制御は必須の要素である。 本年度は、固体のカーボン源原料とトリブロックコポリマーを混合し、無溶媒で自己組織化させる手法(無溶媒法)を開発した。架橋剤としてヘキサメチレンテトラミン(HMT)を用いた無溶媒自己組織化法によるナノポーラスカーボンの合成に取り組んだ。また、ナノポーラスカーボンの細孔制御を行うため2種類のアルカリ賦活を行い、細孔構造変化について考察を行った。生成物のTEM像から、規則的なチャネル状均一細孔が見られた。我々が報告しているヘキサゴナル構造COU-1と同等の構造体が得られたものと考えられる。 また、窒素吸着測定により6.0 nmの均一メソ孔を有することがわかった。KOHを用いて賦活すると(後賦活法)、メソ孔のサイズに変化はなく、ミクロ孔の増加がみられた。比表面積も520 m2/gから2480 m2/gに増加した。一方、最初の炭化前にKOHを混ぜる直接賦活法では細孔径のピークは1.8 nmであり、比表面積は2410 m2/gとなった。有機系電解質を用いて放電容量を測定したところ、賦活によって大きく放電容量が増加することが分かった。特に後賦活法で作製したサンプルは市販の活性炭に比べ表面積あたりの放電容量が大きいことから、イオンの拡散に最適な細孔が形成されたものと思われる。
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