研究概要 |
次世代エレクトロニクス、さらには「Beyond Moore」デバイスの開発を目指した新しい試みとして、層状金属酸化物の単層剥離により得られる分子シート「酸化物ナノシート」に注目し、グラフェンを凌駕する新規原子膜材料の開発を行った。 これまで開発した酸化物ナノシートにおいて、精密ドーピングによる特性制御を実現し、ナノシート単体として高い電子移動度を有する高伝導性ナノシートの探索を行った。半導体性を有する酸化チタンナノシート(Ti0.91O2)および酸化マンガンナノシート(MnO2)に対し、第一原理計算に基づく材料設計により、種々の元素置換によるドーピング効果やバンド構造の制御を行い、金属状態、高電子移動度を示すナノシートの開発を進めた。その結果、Nb5+, W6+, N-, F-を置換した酸化チタンナノシート、Nを置換した酸化マンガンナノシートでは、金属状態が実現することを明らかにした。 酸化物ナノシートの特性制御技術さらには新しい原子膜開発のもう一つの試みとして、グラフェンでは実現しえない高い誘電機能を有するナノシートの開発とその応用を進めた。申請者が最近見出した高誘電率(ε =210)を示すペロブスカイトナノシート(Ca2Nb3O10)を対象に、元素置換や分極構造の最適化を行った結果、CaLaNb2TiO10ナノシートがε =270の高い誘電率を有することを確認した。さらに、伝導性および誘電性の2種類の酸化物ナノシートを積み木細工のようにサンドイッチ構造に堆積することにより、現行素子の特性を凌駕する世界最小の高性能コンデンサ素子の作製に成功した。
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