研究課題
基盤研究(B)
新材料シーズであるナトリウム酸オスミウムの高品質結晶を高圧高温合成法で育成し、約140℃付近の転移の様子を分光学的に研究した。この研究により、これまでの特性評価研究から推定されたスレーター機構による転移である可能性がさらに高まった[1]。今後はさらに、材料応用を目指す基礎研究の充実、新規のスレーター材料シーズの探索を推進する。ナトリウム酸オスミウムの関連物質として、関連性が高いリチウム酸オスミウムの新規合成に成功した。この結晶は実用強誘電材料であるリチウム酸ニオブと同型の結晶構造を有し、極めて類似する強誘電構造相転移を示すが、誘電体特有の電気的絶縁性を持たないため、誘電分極を示さない [2]。スレーター機構との直接的な関連性は薄いと思われるが、かなり特異な状況であるため、基礎的理解の充実、さらに新規用途を明らかにするための研究を進める。また、周辺物質として、オスミウムを含有する2重ペロブスカイト型酸化物の新規合成に成功した[3,4]。室温よりも高い磁気転移を示し、新材料として有用な高スピン分極を示す可能性があるため、研究を継続する。[1] I. L. Vecchio, et al, Sci Rep 3, 2990-1-4 (2013).[2] Y. Shi, et al, Nat Mater 12, 1024-1027 (2013).[3] Y. Shi, et al, J. Am. Chem. Soc. 135, 16507-16516 (2013). [4] H. L. Feng,et al, J. Am. Chem. Soc. 136, 3326-3329 (2014).
2: おおむね順調に進展している
本年度は、モデル物質のスレーター転移機構の解明と、新規スレーター物質・周辺物質・関連物質の探索に重点を置いた。それぞれの課題で進展が見られた。特に、関連物質として合成したオスミウム酸リチウムが特異な強誘電構造相転移を示すことを見出したことは特筆に値する。この構造相転移は金属伝導性と共存する特異な状況にあると思われるが、転移機構は不明のままである。さらに用途開発、基礎的理解の充実が進めばスレーター材料とは別の新規材料シーズとなる可能性があるため、研究を継続する。
現状の課題を継続するとともに、5d酸化物に着目した新材料シーズの探索を進める。特にオスミウム含有2重ペロブスカイト型酸化物、オスミウム酸リチウムの周辺物質・関連物質の研究に重点を置く。
ポスドク研究員1名を雇用予定であったが、採用が不調であったため。平成25年度に不調であったポスドク研究員の採用計画を見直し、適任者1名を早期に雇用する。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 8件)
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