研究課題/領域番号 |
25289234
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
依田 眞一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 専任教授 (00344276)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大型ガラス形成 / 準安定相 / 国際研究交流」韓国 / ガス流形態数値計算 |
研究概要 |
BaTiO系酸化物の大型試料の作製のため、ガス浮遊炉での試料浮遊溶融に際して資料上部の圧力を負圧にするための装置の設計、開発を行った。負圧制御に際しては、試料浮遊のためのガス流量と試料上部を負圧にするためのガス吸入とが可変可能となるようにした。この装置設計・開発を行った後、アルミナ、ジルコニアの真球試料を作製し(4,5,6,7,8,9,10mm)、負圧制御による浮遊可能性の確認実験を実施した。なお、アルミナ、ジルコニアの2種類の試料を作製したのは、両者で密度の相違が約50%ほど異なるためである。この個体試料を用いて機能確認試験を実施した。その結果、直径4mmから10mmまでの個体試料が十分に浮遊可能であることが確認できた。この結果をもとに特許の申請を行った。 この結果をもとに現存する1本のレーザーで4mm直径のBaTiiO系酸化物試料の溶融浮遊実験を実施した。直径3mm程度までは負圧付加なしでガラス試料(浮遊凝固でない場合には結晶体が生成する)が作製できたが、4mm直径ではガス流量が増加するため(ガス流量が増加すると試料の一部しか溶融出来ないことが判明した。これをもとに、CO2レーザーを購入した。CO2レーザー2本を用いた実験を行ったところ、流量が増加した状態でも、直径6mmほどまでは試料の完全溶融が可能であることが明らかとなった。しかし安定浮遊は個体試料ほど容易ではない。これは、試料がレーザー照射部分から溶融することにより重心位置がずれることにより浮遊が不安定になるためである。このため、試料の溶融状態をCCDで観察し、溶融し始める時に流量を微小制御することから何とか克服したが、この作業は試行錯誤で容易ではなかった。これまで結果として直径6mmまでのガラス試料の製造に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の予定では、負圧付加装置の設計/開発を行い、個体試料による性能確認試験を実施し、5mm直径(従来は3mm程度)のレンズ型ガラス準安定試料の作製までを予定していた溶融試料の安定浮遊は僅かなパラメーターで不安定化することから、現状5mm程度しかで来ていない.このため、ノズル形状の見直しを含めてなお、早々に6mm以上の安定浮遊を達成し、目標である8mmを目指す.なお、本システムが有効であることは、個体試料で実証出来たことから、この結果を基に特許申請を行った(特許庁識別番号:平成25年11月19日、識別番号:513288333)。
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今後の研究の推進方策 |
2本のレーザーでは8mm直径の溶融は困難で有ることが予想されるため、他の現存するレーザーを追加して実験を実施する。なお、ガス流試料ホルダーの形状も大型試料作製に合致する形態に改良する必要があり、このため試料ホルダー部でのガス流の数値計算を実施し、大型溶融試料に最適化したガス試料ホルダーの作製を行い8mm直径のガラス試料の作製を目標とする。8mm試料が作製された後は、ガラス化転移温度及び結晶化転移温度の計測を実施し、準安定相が生成されていることを確認する。なお、実用化に最も近いLaTiZrO酸化物についても併せて実験を行うことを予定している。6mm直径のガラスの形成でも画期的な事から、積極的に国際会議での報告を予定している。
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