研究課題/領域番号 |
25289235
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伏見 公志 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20271645)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 材料加工・処理 / 耐久性 / 環境劣化 / モニタリング / メゾスコピック系 / 腐食防食 |
研究概要 |
本研究は、面分解能と時間応答性の両方を高度に満たす界面反応解析システムとなる“その場電気化学反応イメージングプレート”を開発し、界面構造のヘテロ変化を追跡する新しい電気化学測定手法を創製、金属材料の余寿命予測の確度向上に寄与する基礎的知見を得ることを目的としている。 初年度である本年度、フォトリソグラフィーとMEMS 加工により高精度に作製した微小電極配列構造体の作製および各微小電極を同時に電気化学制御可能なマルチチャンネルポテンショスタットの設計と製作を行っている。直径10umのディスク型微小電極を100umの中心間隔で32(=4x8)ch配列した微小電極配列構造体を試作、分極挙動を実験的に検証するするとともに、有限要素法を用いて各微小電極上に形成する拡散層厚さと電極に流れる限界電流のシミュレーションし、最適な微小電極配列構造体としての電極特性について検討を行っている。 本研究で”その場電気化学反応イメージングプレート”を開発した際、その面分解能と時間応答性の比較確認が必要となるがこれに先んじて、フェライトおよびオーステナイトからなる二相炭素鋼を試料とし、各相の電気化学特性について検証を行っている。微小キャピラリーセル法や走査型電気化学顕微鏡法、Devanathan式透過水素量測定の改良を行い、試料表面上の腐食特性、不働態安定性、水素透過能の不均一性について検討した。また、精巧な構造体を作製可能な3Dプリンターを導入し、モデル試料および治具の作製を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
直径10umのディスク型微小電極を100umの中心間隔で32(=4x8)ch配列した微小電極配列構造体を試作したが、微小電極を取り囲む絶縁被覆材の化学的安定性と各微小電極の電気伝導性に再現性が得られていない。当初予定では、電極構造体を実際に分極した電流波形とシミュレーション結果(電流波形)を対応させて、最適な電極配列パターンを求めることになっていたが、まだ完了していない。 8台の32chマルチチャンネルポテンショスタットを組み合わせて、最大256chの配列電極制御を最終目的としているが、本年度はそのベースとなる32chマルチチャンネルポテンショスタットの試作を行った。本体の製作を行ったが、安価に各chの制御値および測定値を入出力可能なインターフェースと操作ソフトの開発に少し遅延が見られる。
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今後の研究の推進方策 |
32ch微小電極配列構造体の安定動作を、連携研究者とともに目指す。並行して32chマルチチャンネルポテンショスタットを完動させる。作製した32chイメージングセンサの面分解能、時間分解能をモデル試料を用いて検証する。64ch, 100ch, 144chと順次微小電極構造体のチャンネル数を増やし、最終的に256chの最適な微小電極配列構造体設計を完了する。これと並行して多チャンネルポテンショスタットの整備を行う。 他の電気化学測定法で得られた結果と比較しながら、本法の有用性を検証する。具体的には、3Dプリンターを用いて作製した微細加工絶縁体表面、純鉄、フェライトとオーステナイトから成る二相炭素鋼などを試料として、イメージングセンサによる電気化学反応センシングへの適用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
32chマルチチャンネルポテンショスタットの制御方法の確立に時間を要しており、追加の32chマルチチャンネルポテンショスタットおよび周辺機器の導入に至っていない。 32chマルチチャンネルポテンショスタットの制御方法を確立し、追加の32chマルチチャンネルポテンショスタットおよび周辺機器を導入する。
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