研究課題/領域番号 |
25289241
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西川 宏 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (90346180)
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研究分担者 |
齋藤 美紀子 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (80386739)
水野 潤 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (60386737)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 低温焼結型接合 / ナノポーラス材料 / 選択溶解 / Cu/Cu接合 |
研究概要 |
本年度は「低温焼結型接合に適したナノポーラス材料の確立」を目指して、Au-Ag二元系合金から作製可能な安定性の高いAuナノポーラス構造に注目し、鋳造法及びめっき法を用いてAu-Ag二元系合金を作製し、Auナノポーラス構造の作製をおこなうとともに、Auナノポーラス構造を用いた接合を試みた。その結果、具体的には以下のような結果を研究の成果を得た。 鋳造法を用いたAu-Ag二元系合金では、Au-50mass% Agを作製し、選択溶解によりAuナノポーラス構造の作製を試みた結果、溶解時間や溶液濃度、溶液温度を変えることでナノポーラス構造を変化せることが可能であることを明確にし、10nm以下のリガメントサイズを持つAuナノポーラス構造の作製に成功した。さらに作製したナノポーラス構造を用いて、Cu/CuやAuめっき/Auめっきの接合実験を実施し、接合強度を評価したところ、25 MPa以上のせん断強度を得ることが可能であることが明確になった。 まためっき法を用い検討についても、Au-Ag合金膜を作製し、選択溶解から得られるAuナノポーラス構造の作製検討や粒子の形態制御の検討を進めた。特にチオ尿素を錯化剤として用いたAu-Agを含む溶液の最適電解析出条件の検討を進め、約20 nmの粒サイズのAuナノーポーラス構造の作製に成功した。また、選択溶解前に熱処理を行い、その後に選択溶解を行うことにより、さらに微細な5 nmのナノホールの形成を確認した。鋳造法及びめっき法、それぞれで得られた結果については、ESTC2014(5th Electronics System-Integration Technology Conference、2014.09.16)で発表予定である。 平成26年度以降に計画している表面活性化を使った低温接合実験の前準備として、Auナノポーラスシート構造から粉末状構造を作り、Au-Au同士で200℃以下の低温焼結接合に成功した。今年度、購入した低温・ドライ還元装置を立ち上げて実験評価も順調に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、Auナノポーラス構造とCuナノポーラス構造の両方について検討を進める計画であったが、H25年度はAuナノポーラス構造のみに注目し、二元系合金の作製方法として鋳造法、めっき法ともに検討を行った。またH26年度に検討予定であったナノポーラス構造を利用した接合プロセスについて、Cu/Cu、Auめっき/Auめっき接合について前倒しで検討を開始し、それぞれAuナノポーラス構造を利用することで接合可能であり、十分な接合強度を得られることを明確にできた。また平成26年度以降に計画している表面活性化を使った低温接合実験についても前準備を進めており、低温・ドライ還元装置を立ち上げて実験評価も順調に行うことができた。従って、当初計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
ナノポーラス構造の構造制御方法の確立を進めながら、高性能な接合部の創出に向け、接合プロセスと接合層構造の関係及び接合層が接合強度に与える影響を明確にすることを進める。さらにAu-Ag以外の材料も検討に入れ、Agナノポーラス構造やCuナノポーラス構造の作製についても検討を進めながら、基礎的な学問体系の構築に向け、選択溶解-ナノポーラス構造形成のメカニズムなどについてもさらに解明していく。被接合材として、Alを用いた検討も進めていく予定である。Au ナノポーラス材料に対しては、エキシマUVや低温・ドライ還元法を使い表面処理技術の効果を評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
大阪大学で卓上形万能試験機の購入を予定していたが、別予算での購入が可能となり、H26年度以降、本件研究でも使用が可能となるため、卓上形万能試験機の購入を見送ったため。 本研究に使用している試料加熱装置が昨年度末に故障したことから、装置の修理・メンテナンス費として使用を計画するとともに、当初の想定以上に研究成果が得られているため複数の国際会議への参加を予定しており旅費としての使用を計画している。
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