研究課題/領域番号 |
25289243
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高木 均 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20171423)
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研究分担者 |
ナカガイト アントニオ・ノリオ 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50523156)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 天然繊維 / 複合材料 / ルーメン |
研究概要 |
今年度は,天然繊維における内部構造制御の確立を目指して,アバカ繊維に対して様々な条件で化学処理を行った.その結果,この化学処理を施すことによって繊維内部のルーメンの大きさが変化することが分かった.そしてこの構造変化は,処理液の濃度に強く依存し,ある臨界の濃度が必要であることが分かった.この条件は,単に濃度のみならず,処理時間と処理温度とも関連しているため,次年度以降も引き続き調査を行う予定である. 処理材の構造を解析するために,化学処理後の繊維に対してX線回折試験およびFT-IR分析を行った.一部,ヘミセルロースの溶出が確認されたが,別の結晶構造への変化は確認できなかった.他の研究では,高濃度のアルカリ処理(マーセル化処理)によってセルロースIIへの変化が報告されているが,本試料では,セルロースのみならずヘミセルロースとリグニンが内部に存在しているためこのような結果になったと推察される.化学処理後に水洗を行うことによってルーメンサイズが戻るという報告があるため,この確認を行った.過去の研究と同様に一週間の水洗を行っても,ルーメンサイズが戻ることはなく,繊維内の構造が変化していることが示唆された. 新たに購入したホットプレス装置を用いて成形実験を行い,大型試料の作製が可能であることを確認した.しかし,成形中に圧力の細かい調整とプレス圧板の正確な位置のコントロールを行う必要があり,これらを正確に行わないと,成形ごとのサンプル中の繊維含率の調整が難しいことが分かった.このため,次年度にプレス装置のアップグレードを行い,再現性の高い成形が行えるように改造を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年の目的である,天然繊維の内部構造制御に関する実験を実施し,化学処理によって内部構造が変化することを示すことができた.またもう一つの目的である,内部構造を制御した繊維で補強した複合材料の試作実験を行ったため,おおむね順調に進展していると判定した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,天然繊維の内部構造と力学的特性との関係をより詳細に調査を行うため,化学処理を行う際の濃度と処理時間の影響について調査する.そして化学処理により内部のルーメンの大きさを変えた繊維と樹脂とを組み合わせた一方向複合材料と単繊維ランダム複合材料を試作し,この複合材料の機械的性質と断熱性について評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入した下ラム式ホットプレスを使用してサンプルを成形する際,オプションの圧力位置制御システムを導入した方が成形した複合材料の繊維強化材含有率の再現性がよいことがわかった.次年度にこのシステムを導入するため繰り越すことにした. 下ラム式ホットプレスへの圧力位置制御システム導入に充てる.
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