研究課題/領域番号 |
25289243
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高木 均 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20171423)
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研究分担者 |
ナカガイト アントニオ・ノリオ 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (50523156)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 天然繊維 / 複合材料 / ルーメン |
研究実績の概要 |
天然植物繊維の内部にはルーメンと呼ばれる空洞が存在する.この特異な内部構造に由来して天然繊維強化複合材料で発現することが期待される断熱性,生分解性などの機能性について調査することを目的とする.本年度は,アルカリ処理による天然繊維の内部組織変化と力学的特性変化の測定ならびにアルカリ処理を行った天然繊維で強化したグリーンコンポジットの試作とその熱伝導率測定を行った. 1.天然繊維の組織変化と力学的特性 アバカ繊維の内部構造と引張特性に及ぼすアルカリ処理の影響について調査した.繊維中のルーメンは10,15wt%NaOHで処理すると縮小することを見いだした.アルカリ処理したアバカ繊維の引張強度にはほとんど変化はない.しかし,5wt%NaOHで処理した場合,ヤング率は41%増加するのに対して,10,15wt%NaOHで処理するとそれぞれ24%,29%低下し,濃度によって変化することを示した. 2.熱伝導率の測定 アルカリ処理を行ったアバカ短繊維(3-8mm)とポリ乳酸を組み合わせたグリーンコンポジットをホットプレス成形した.アバカ長繊維で調査した結果から予測されるように,アルカリ処理を行ってルーメンを縮小させた繊維を用いて作製したグリーンコンポジットの熱伝導率は,未処理材の熱伝導率よりも大きくなることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の主要目的である,アルカリ処理によって内部構造を変化させた天然繊維の力学的特性評価とこの内部構造を変化させた天然繊維で補強した複合材料の力学的特性と熱伝導率の評価を実施した.このため,「おおむね順調に進展している.」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
ルーメンサイズの異なるグリーンコンポジット(短繊維,長繊維)を試作し,その熱伝導率と力学的特性を測定する.併せて,ルーメン中に樹脂を含浸させた繊維で補強したグリーンコンポジットを試作し,その熱伝導率と機械的性質に及ぼすルーメンの影響ついて調査する. ルーメンサイズの異なるグリーンコンポジットの生分解性特性を調査する.この場合も,ルーメン中に樹脂を含浸させた繊維で補強したグリーンコンポジットを試作し,ルーメンの空洞の影響について調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に行った圧力位置制御システム(下ラム式ホットプレス装置)の機能追加を行ったため,予算的に熱伝導測定装置の購入が難しくなった.このため資金を繰り越して熱伝導測定装置の購入費に充てることにした.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の熱伝導率測定装置の購入に充てる.
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