アルカリ処理ゼラチンのリジン残基の一部をヘキサノイル基に置換したヘキサノイル化ゼラチンを有機溶媒中でNaClをポロゲンとしてクエン酸から合成した架橋剤を用いて架橋し多孔膜を調製した。得られた多孔膜を皮下にラット皮下に埋入すると、成長因子フリーの条件でin vivoにおいて血管新生を促進する効果を見出し、特に気孔率の大きい多孔膜が効果的であることを明らかにした。また、血管新生に関与する因子と疎水化ゼラチンとの相互作用解析の結果から、周辺組織から放出される血管内皮細胞増殖因子の疎水化ゼラチンへの結合と徐放により血管新生が促進されることを明らかにした。さらに、ポアサイズと軟組織接着性について評価した。平均ポアサイズが80μm程度になると高い組織接着性を示すことが明らかとなった。接触角測定による吸水速度と相関があることから、毛細管現象により軟組織表面の水分を吸収すると同時に表面のヘキサノイル基が組織に浸透し、高い接着性を有することが示唆された。
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