研究実績の概要 |
Ta, Nbは優れた高耐食性を持つ緻密な酸化皮膜を有するので高性能コンデンサとして製品化、実用化される。TiやTa, Nbは炭素還元が困難であるため、塩化物などを一旦製造して、還元しやすい化合物に換え、それらを還元し製造するので、エネルギー多消費型で連続製造も難しい。高静電容量とするため複雑な粒子表面形状を持ち、かつ低酸素含有の高性能粉末が求められている。 本研究では、結晶異方性をもつ複合酸化物CaxMyOzに着目して溶融CaCl2中で還元を行い、特異な結晶外形を持つ金属Mの微粉末を製造した。微細で非等方的な粉末製造例として、①微細な針状TaおよびNbの粉末、②サイコロ状VおよびTi粉末、③中空粉末、を調査した。Ca還元、CaOの電解による還元(OS法)、および酸化物電解法(FFC法)で製造し、三法の反応メカニズムと粉末性状を実験で検討した。 Nb2O5のCaCl2中での還元で、Caを多量に用い強く還元すると球状のNbが生成するのみであるが、一旦、複合酸化物CaNb2O6等を経由させると、幹から分岐した枝状Nbが生成した。副生成物のCaOと出発酸化物が反応して、異方性を有する外形をもつ中間複合酸化物CaxMyOzを一旦生成し、さらに還元が進むと酸化物の形骸構造や結晶構造を反映した外形を持つ特異な形態(板状や針状、棒状、サイコロ状など)を持つ金属粉末となる。 本年度の調査結果では酸化物のみならずTiやVの硫化物の溶融塩還元の際でも多様な形態の粉末を得た。世界的にも硫化物の溶融塩還元は極めて研究例が少ない。低級硫化物の外形を保存する場合、表面積増大のため硫黄や酸素濃度が高くなった。酸素含有量は長時間還元の他、電極配置、冷却条件、真空度、含水率、などが寄与することが分かった。
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