研究課題/領域番号 |
25289271
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
猪股 宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10168479)
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研究分担者 |
小野 巧 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (20637243)
佐藤 善之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50243598)
大田 昌樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50455804)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 吸着 / 超臨界CO2 / VOC成分 / 吸着材 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,前年度まで測定済みの活性炭に対する超臨界CO2-VOC (揮発性有機化合物) 2成分系吸着データに対して,同じく前年度に導出,提案を行った多成分系吸着平衡推算モデルであるDA(Dubinin-Astakhov) - NIAST(Non-ideal adsorbed solution theory)モデルを適用し,その推算精度に関して検討した.その結果, DA-NIASTモデルがLangmuir - IAST(ideal adsorbed solution theory)等の他の従来法と比べ,広い温度,圧力領域において超臨界CO2-VOC 2成分系吸着平衡を良好に推算できることを明らかにした. 次に,3成分以上の多成分系への適用性を検討するため,活性炭に対する超臨界CO2-VOC多成分系吸着平衡の測定を行い,DA -NIASTモデルの適用性を検討した.その結果,本研究で開発したDA-NIASTモデルは従来法と比べ,3成分または4成分といった多成分系吸着平衡をも良好に推算可能であることが分かった.この際,CO2-アセトン-トルエンやCO2-トルエン-ヘキサンといった3成分系,及びCO2-トルエン-アセトン-ヘキサン4成分系吸着平衡では,いずれの場合でもトルエンの吸着量については比較的高い推算精度を示した一方,ヘキサンやアセトンについては推算偏差がやや大きくなる傾向となった.これはトルエンと活性炭との親和性が他の吸着質と比べて大きく,吸着平衡推算においてこの影響が支配的であったためと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推算法に関しては,前年度に開発したDA-NIASTモデルが同じく前年度に測定済みの活性炭に対する超臨界CO2-VOC 2成分系吸着平衡に適用可能であることを示し,本方法論の妥当性を示すことが出来た.また,多成分系吸着挙動における検討に関しても,その実験データを新たに獲得した上で,本研究で開発したDA-NIASTにより高精度の推算結果が得られること明らかにした. したがって,本申請課題で目的とする超臨界CO2中における多成分系吸着挙動予測手法の確立が,活性炭という最も汎用的な吸着剤に対して達成されたと考えており,ほぼ計画通りに研究が進捗していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ順調に進捗していることから,計画通りに,26年度までに検討した活性炭に対する超臨界CO2中の多成分系吸着挙動予測手法を他の様々な物性を有する吸着剤(ゼオライト,メソポーラスシリカ,メソポーラスカーボン等)へ拡張する. このようなアプローチにより、汎用的な吸着平衡推算モデルの開発という目的にむけた研究を推進する. 速度論的な検討は、最終年度に精力的に実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
基金の分で次年度使用額が生じたのは、予定した専門知識の導入ならびに分析などの作用依頼などに関して計上していた謝金が必要でなくなったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額分については、次年度で予定している吸着材の評価分析に関して、比表面積や細孔容積のみならず、細孔径分布など詳細データの解析を実施するための依頼分費として計画している.
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