研究課題/領域番号 |
25289275
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
入谷 英司 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60144119)
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研究分担者 |
片桐 誠之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00345919)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ソフトナノコロイド / 超高度分離 / 脱液挙動 / 圧縮変形挙動 / 限外濾過 / 濾過ケーク / 平均比抵抗 / 平均空隙率 |
研究実績の概要 |
本研究では、ナノゲル(ミクロゲル)、ナノエマルション、タンパク質のような生体高分子、ハードナノ粒子が緩く凝集したナノ粒子などのソフトナノコロイドの超高度分離操作の最適設計を実現するため、ソフトナノコロイドの特性評価法を確立し、それに基づき複雑な分離メカニズムを解明して、最適な分離手法、装置や操作の設計のための指針を得ることを目的とする。昨年度に引き続き、ソフトナノコロイドの脱液挙動および圧縮変形挙動の評価を行うための手法の確立を試みた。ソフトナノコロイドとして種々のタンパク質を用い、濾過面積急縮小効果を利用した圧力ステップ状限外濾過試験法を検討した。本手法では、濾過が進行してケークが成長し、濾過器内の急縮小面にケーク表面が達すると、ケーク表面積の減少により濾液流量が激減する。この現象を確認した後に、濾過圧力をステップ状に増加させると、ケークが圧縮されてケーク表面が急縮小面から下方に離れ、その後ケークが成長し、再び急縮小面に達する。これを繰り返すことで、種々の圧力における濾過速度の経時変化と急縮小面に達した時点の濾液量が得られ、濾過性能の支配因子となる濾過ケークの平均比抵抗と平均空隙率の圧力依存性を同時に求めることができる。一度の実験で広範な圧力範囲における濾過ケークの特性値が得られ、試料濃度や濾過圧力の異なる様々な条件での定圧濾過挙動や濾過の進行に伴い圧力が変化する変圧変速濾過挙動の推算に適用できることを確認し、データの妥当性を検証できた。特に、ナノコロイドが高濃度の場合には、濾過挙動の推算に空隙率の考慮が必須となり、ケークの平均比抵抗と平均空隙率の圧力依存性が同時に求まる本手法の有用性が確認できた。以上より、本手法によれば、ソフトナノコロイドの超高度分離操作の最適設計に直接繋がる基礎データを容易に得られることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果によりソフトナノコロイドの特性評価法が確立され、超高度分離操作の最適設計を実現するための指針が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
ソフトナノコロイドの脱液挙動や圧縮変形挙動については、特性評価法が確立され、順調に成果が得られているので、当初の計画に従って研究を進め、超高度分離操作の最適設計を実現する。ソフトナノ粒子集合体の特性については、今年度に検討できなかった項目を来年度の計画に加え、機能性ソフトマテリアルとしての可能性を探究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究室で保管していた試料や試薬なども利用して研究を進めたため、当初の計画より低予算で成果を得ることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度未使用分を利用して技術補佐員を雇い、濾過、圧搾、遠心分離など様々な手法でソフトナノコロイドの分離を検討し、超高度分離操作の最適設計の実現を目指す。また、研究成果を広く公表するため、様々な学会等での研究発表を積極的に計画する。
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