膜状触媒の細孔を通過する過程で反応させるポアスルー型触媒膜の開発と滞在時間制御による反応選択性の制御に取り組んだ。この場合、その細孔径は重要な役割を有するはずであり、その一方で、触媒種の担持量や担持形態も反応の進行度を左右することが予測される。前年度までに、触媒膜調製法の改善について検討を加え、触媒担持が膜内部だけでなく外表面や内表面に行われると、反応原料が膜内部に侵入する前に反応が始まり選択性を制御できなくなることを示した。したがって膜内部層に触媒活性種を担持する必要があることが示唆された。 本年度は、管状の多孔質支持体の内部に白金系触媒層を形成する手法として、昨年度考案した対向拡散法による活性種析出法の位置精度を向上させた。膜前後に差圧をつけて一方方向流れになるようにし、シクロヘキサンのベンゼンへの逐次的脱水素反応における中間生成物であるシクロヘキセンの選択率向上を目指した部分脱水素反応試験を行ったところ、反応率の上昇に伴う選択性の低下を抑えて、収率向上が可能なことを明らかにした。
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