研究課題/領域番号 |
25289279
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
福原 長寿 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30199260)
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研究分担者 |
立元 雄治 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00324335)
河野 芳海 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50334959)
渡部 綾 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80548884)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 触媒反応システム / 新エネルギー / ハニカム触媒 / 二酸化炭素削減 / 水素製造 / カーボン捕集 / 燃料電池 / 炭素資源 |
研究概要 |
本研究では、CO2やCOなどのC1系小分子を還元(メタン化)し、生成するCH4を高効率で高速に分解改質(CH4→C+2H2)やドライ改質(CH4 +CO2→2CO+2H2)するハニカム型構造体触媒を創製すること、そして創製した触媒でエクセルギー増加型の構造体触媒反応システムを構築して評価することを目的としている。今年度は、メタン化触媒や分解改質触媒、ドライ改質触媒の調製を目標とし、メタルフィン基材(100cpsi,18mmφ×45mmL)上にそれぞれの改質反応に適すると考えられる触媒成分を付着する方法を検討した。そして、調製した各構造体触媒の反応特性を評価し、以下のような成果や知見が得られた。 1.CO2やCOなどのメタン化反応に対しては、CeO2担体上にニッケル成分を付着したNi/CeO2触媒が、Al2O3やZrO2,MgOなどを担体とする触媒よりも高いメタン化活性を示した。この要因は、担体上へのCO2の吸着状態が関与していることが推察された。 2.上記のNi/CeO2系成分をWash coat法でAl製フィン基材上に付着した構造体触媒を作製した。この触媒は粒状タイプの触媒と比べ、250℃で活性がやや下がるものの300℃以上では同じ活性を示し、メタン化触媒の構造体化に成功した。 3.CH4のドライ改質反応に対しては、ゾル-ゲル法によるAl2O3層の形成と、無電解めっきによるNi成分創出からなる方法でステンレス製フィン基材上に調製したNi/Al2O3触媒が高い改質特性を示した。その生成ガス組成比(CO/H2)は、アルカン合成反応に適したもの(CO/H2=0.6~1.0)であった。 4.CH4の直接分解反応に対しては、上記のNi/Al2O3触媒が高い分解活性を示すことがわかった。また、この触媒は炭素質がある程度析出した後、H2OやO2ガスを流すことで再生可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究計画では、C1系小分子の還元(メタン化)用構造体触媒の創製、メタン直接分解用構造体触媒の創製、そしてドライリフォーミング用構造体触媒の創製をそれぞれ目標としている。今年度の研究実施により、メタン化反応に対しては250~500℃、原料ガス流速70ml/minの条件下で平衡転化率にほぼ沿った高い性能を示す粒状タイプのNi/CeO2系触媒が開発できた。また、ドライ改質反応に対しては、550~700℃、メタン供給量5×10-3mol/minの比較的厳しい改質条件下において、粒状の工業用触媒とほぼ同じ性能を示すNi/Al2O3触媒を創製することができた。そして、この触媒はメタンの直接分解反応に対しても550℃、メタン供給量1.3×10-3 mol/minの分解条件下でほぼ平衡転化率に近い活性を示すことがわかり、分解反応に関しても目的とする触媒に近いものが創製できた。 以上のことから、本年度の研究推進はほぼ計画通りに進行したものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究実施内容について以下に記す。 ①メタン化反応、分解改質、ドライ改質の各反応用構造体触媒の特性向上に関する研究:平成25年度に創製できた各触媒について反応性能のさらなるブラシュアップと図る。メタン化反応用触媒では、助触媒成分の添加や触媒調製条件の最適化を図ることで、250℃のより低温条件下におけるCO2転化率のさらなる向上を主として目指す。ドライ改質触媒では炭素質析出の耐久性をさらに向上させ、触媒寿命の長期化を図った触媒を開発する。メタン分解触媒では、550℃における現在の転化率(17%)を平衡転化率(28%程度)近くにまで向上することを検討する。 ②構造体触媒の物性キャラクタリゼーション:各種の分析測定装置(SEM,TEM,XRD,EDX,XPS,BET,TPR,FT-IRなど)を利用して、開発する各種触媒の物性に関したキャラクタリゼーションを平成25年度以上に集中して実施する。そして、得られた物性情報と反応特性との相関性について検討し、触媒特性発現の要因に考察を加える。その考察をもとに、各構造体触媒の反応特性向上を図る調製法の検討を行なう。 ③各反応システムを連結した化学反応システムの構築:その時点までにおいて最も高い触媒特性を示す構造体触媒を用いて、前段:メタン化反応システム+後段:メタンの活用反応システム(分解改質またはドライ改質)を組み込んだ連結型の化学反応システムを構築する。そして、その運転条件などを種々変化させつつ、反応システムの特性評価を行ない、C1系小分子の有効活用を図る反応システム構築について知見を集積する。
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