研究課題/領域番号 |
25289285
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 寿雄 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80273267)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光触媒 / 溶融塩法 / 水 / メタン / 水素 |
研究実績の概要 |
再生可能な資源から必要なエネルギーを作り出すことは,我々人類が持続的に反映するためには不可欠であろう.ここで扱う太陽エネルギーは言うまでもなく再生可能エネルギーであり,メタンもバイオマス由来であれば再生可能資源である.次世代クリーンエネルギーとして期待されている水素は天然には存在せず,現状では天然ガスを触媒を用いて高温で水蒸気改質を行うことで水素を得ている.我々は以前より太陽光とメタンから水素を高効率に得る光触媒的メタン水蒸気改質反応の研究を行っており,これまで,酸化チタンやタンタル酸ナトリウム,酸化ガリウム,チタン酸カリウムなどの光触媒に助触媒として白金もしくはロジウムを添加した光触媒を扱ってきた.本研究課題ではより高性能半導体光触媒の開発を目的としている. これまでの研究に基づき,半導体光触媒粒子が,酸化面と還元面が明白に区別できるような形状を持つ高品質かつ高表面積な半導体微結晶であれば,励起電子・正孔の分離や反応面の分離による再結合・逆反応を抑制することができ,高効率に光触媒的メタン水蒸気改質反応が進行するという作業仮説を立てた.そこで本研究では,単結晶を得るための合成法の一つである溶融塩法を改良して,チタン酸カリウムとチタン酸カルシウムの合成を試みた結果,前者では六角柱状の微結晶が得られ,後者では多面体構造を持つ微結晶粒子が得られた.また,タンタル酸ナトリウムもこの方法で調製すると微結晶が得られた.合成条件をいくつか検討した結果,原料と融剤の混合比や,溶融温度,冷却速度が,得られる微結晶の構造に大きく影響することがわかった.そしてタンタル酸ナトリウムについて光触媒的メタン水蒸気改質反応における光触媒活性を調べたところ,従来の固相法によるものよりも高活性を示す光触媒が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通り微結晶の構造制御に関する知見が整理されつつあり,実際に高活性な光触媒の調製にも成功しているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,特にチタン酸塩光触媒について,構造と光触媒活性との相関を整理しつつ,高活性な光触媒の開発を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画のうち,融剤法による触媒合成について集中的に実施し,光触媒的メタン水蒸気改質反応における光触媒活性評価のための設備拡充を平成27年度に実施するように変更したため
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次年度使用額の使用計画 |
光触媒反応装置を拡充し,効率よく研究を進める
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