研究課題/領域番号 |
25289287
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 庸裕 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70201621)
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研究分担者 |
寺村 謙太郎 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80401131)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | NH3-SCR / TiO2 / 色素増感 / 可視光応答化 / N3 dye |
研究実績の概要 |
発電所・船舶・ゴミ焼却炉などから排出されるNOxはNH3を還元剤として用いた脱硝反応(アンモニア脱硝,4NO + 4NH3 + O2 → 4N2 + 6H2O)により無害なN2へ還元除去される.我々はTiO2 光触媒上でアンモニア脱硝が常温常圧の温和な条件下で進行することを報告した.本反応を実用化する上で,光源にはエネルギー変換効率の高い可視光LEDライトや蛍光灯を用いることが望ましい.しかしながら,これまで用いてきたTiO2は可視光( >400 nm)を吸収することができない.吸収波長を可視光域にまで拡大できれば,触媒の高活性化が期待されるだけでなく,上記の光源を使用した脱硝システムの構築が可能になる.平成26年度における検討の結果,我々は可視光を吸収するポルフィリン色素とTiO2を複合化することにより,アンモニア脱硝の可視光応答化に成功した.また,修飾に用いるポルフィリンの構造が光触媒活性に大きく影響することを報告した.さらに,種々の色素で修飾したTiO2触媒を用いた可視光照射下でのアンモニア脱硝を検討し,いずれの色素でTiO2を修飾した場合でも,非修飾のTiO2に比べNO転化率の向上が見られた.特に,N3色素で修飾したTiO2触媒(N3-TiO2)が最大の活性を示し,高GHSV条件(100,000 h-1)において,NO転化率>99%,N2選択率>99%を達成した.Rose bengal,Eosin Y,Rhodamine Bを修飾に用いた場合,反応開始から30 min後の時点では,比較的高い活性が得られたが,180 min後では活性は大幅に低下した.一方で,N3 dyeおよびRu(bpy)3Cl2では,反応開始から180 min後においても,活性の低下はほとんど見られなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究においては①活性点の数のコントロールするTiO2合成法の確立,②反応中間体であるNH2NOの脱離の促進,③可視光応答型光触媒の開発の3つの観点から新規触媒の合成および脱硝システムの改良を行う予定をしている.平成26年度においては上記の③に着目し,色素を用いた可視光応答化について検討を行った.その結果,ほぼすべての色素がTiO2上でうまく機能し,可視光照射下において非修飾のTiO2に比べて高いNO転化率,N2への選択率を達成した.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は③可視光応答型光触媒の開発の検討を継続して行う予定である.色素の種類によって活性の違いがすでに明らかとなっているので,この違いを明らかにするために各触媒の特性評価を行う.さらに,その反応機構を明らかにするべく各種分光法を用いて明らかにする.
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