研究課題/領域番号 |
25289289
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 浩亮 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90423087)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光触媒 / 金属錯体 / 太陽エネルギー / 高難度還元反応 / 有機無機ハイブリッド / 水素エネルギー / 二酸化炭素 |
研究概要 |
本研究では、金属錯体と電気伝導性無機材料を階層的に集積し、太陽光の捕捉、高エネルギー電子の生成、相界面での不可逆的な電子移動、および高難度還元反応という一連の光化学反応を駆動する有機-無機ハイブリッド光触媒の開発を目的とする。対象とする反応は、水からの水素生成や、二酸化炭素からのCO、ギ酸、メタノール合成などの還元反応であり、高難度であるが実用性の高いエネルギー貯蓄型のアップヒル反応である。さらに、表面プラズモン増強電場を利用した反応高効率化、および放射光in situ XAFSを駆使した活性点の局所構造解析・反応素過程の解明も同時に行い、材料の探索・新規触媒設計に多面的なアプローチをする。 今年度は、可視光捕捉サイトとしてRu、Ir、Co錯体を、水素発生触媒としてPd、Pt、Rh、Fe錯体のインターカレーションを試みた。光捕捉サイトから還元触媒サイトに効率良く電子移動が起こるよう、層間距離や酸性度、電気伝導性の異なる様々な酸性層状化合物に各種金属錯体を導入した。用いた担体は、リン酸ジルコニウム(Zr(O3HPO)2・H2O)、K4Nb6O17、Potassium Lithium Titanates (KTLOs)などの層状化合物および、多孔質、カーボン系材料である。また、担持方法、錯体担持量によっても光触媒活性が大きく依存し、錯体同士の相互作用も非常に重要なファクターであることが予想される。そこで本研究では、これら諸因子を系統的に変化させ、電子状態、配位環境、光励起過程の精密制御を試みた。また、これら調製した光触媒は、均一系に比べて光触媒活性が飛躍的向上することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの機能を最大限発揮できるように、金属錯体を層状化合物にインターカレートした新規光触媒が、均一系に比べて光触媒活性が飛躍的向上することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
得られた光触媒を比表面積測定、XRD、SEMにより触媒のバルク構造を解析する。また、固体NMR、XPS、IR、XANES/EXAFS等を用いて行い、触媒活性種近傍の微細構造と光触媒機能の関連を明確にする。さらに、フォトルミネッセンス、UV-vis測定により、光吸収特性を詳細に検討する。また、高エネルギー加速器研究機構(KEK-PF)の研究課題が採択されており、XANES/EXAFS測定も可能である。さらに高輝度光科学研究センター(SPring-8)での研究課題も随時申請予定である。種々の分光学的手法を駆使した触媒活性種近傍の微細構造に関する知見と触媒機能の関連性を解明することで、更なる高性能光触媒の設計指針にフィードバックする。これまで申請者は、放射光XAFSなどの分光学的手法を駆使して、優れた触媒機能とナノレベルの構造との相関を明らかにしてきており、実績は十分にある。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、蛍光寿命測定装置(5,000,000円)の購入を検討していたが、機種変更に伴い、予定する実験の遂行可否に疑問が生じた。一方で、他研究室との共同研究により、装置の借用が可能となったため実験の遂行に問題はない。以上の理由により購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。 今年度以降で、他の機種も含め、再度スペックを確認し蛍光寿命測定装置購入の検討を進めていく予定である。
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