研究課題/領域番号 |
25289293
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植田 充美 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90183201)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | セルロソーム / バイオマス / プロテオーム / リサイクルバイオテクノロジー / アーミング技術 |
研究概要 |
Clostridium属微生物群は、細胞表層に木材チップなどを直接分解できる各種セルラーぜなどの酵素の超複合体であるセルロソームを持つところから、DOEもこの微生物群すべてのゲノム完全解析制覇を目論んで国家プロジェクトを進めている。我々は、このセルロソームの中でも、もっとも機能進化したものと考えられるセルロソームをもつClostridium cellulovoransのゲノムの完全解析を、アメリカに先駆けて完成させ、我々の開発してきた細胞表層工学技術と共役させて、特許化(特願2009-100117)にも成功した。その研究過程で、セルロソームを構成する実働酵素タンパク質は9種あるが、しかし、その候補遺伝子は53種存在することを見出した。我々の開発してきたモノリスカラムによるフォーカスドプロテオーム解析を活用すると、この9種の酵素タンパク質個々が「バイオマスの種類により変化する」ことや、「時間とともに変化する」という興味深い事実を発見した。微生物がバイオマスを分解して生育するための「未来型バイオマス前処理」としてのこの素晴らしい自然の、そして生物の叡智に注目して、この実働9種のタンパク質のゲノム53種からの選別発現の分子機構の解析と応用を目的とする。本年度は、ゲノムの完全解析した、もっとも機能進化したものと考えられるセルロソームをもつ本微生物を、基質として、グルコース(対照として)、セロビオース、アビセル(グルコース高分子)、キシロースや古紙、稲わら、バガス、コーンストーバなどの陸上植物実バイオマスを炭素源として培養し、セルロソームを単離したのち、当研究室で開発したHPLC用高性能・高度分離シリカモノリスキャピラリーカラムの活用とMS/MSの連用によるフォーカスドプロテオーム解析を行った。この結果をゲノム情報をもとに、ゲノム53種からの実働9種のタンパク質を定性解析に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々の開発してきたモノリスカラムによるフォーカスドプロテオーム解析を活用すると、微生物がバイオマスを分解して生育するための「未来型バイオマス前処理」としての実働9種のタンパク質のゲノム53種からの選別発現の分子機構の解析がスムーズに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
セルロソームのプロテオームを、経時的かつ、定量的に解析することにより、基質ごとのセルロソーム構成の酵素タンパク質群の相互定量から全貌を明らかにする。候補遺伝子は53種から9種の酵素タンパク質個々が「バイオマスの種類により変化する」ことや、「時間とともに変化する」という興味深い事実を検証する。また、セルロソームタンパク質の遺伝子の選別発現を分子レベルで解析するために、宿主ベクター系の開発の遅れているClostridium cellulovoransの宿主ベクターを開発を行い、完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究継続につき、残額を次年度の必要経費に組み入れる。 消耗品経費として使用する予定である。
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