Clostridium属微生物群は、細胞表層に木材を直接分解できる酵素の超複合体であるセルロソームを持つ。もっとも機能進化したものをもつC. cellulovoransのゲノムの完全解析を世界に先駆けて完成させ、開発してきた細胞表層工学技術と共役させて、特許化(特願2009-100117)にも成功した。研究過程で、セルロソームを構成する実働酵素タンパク質は9種あるが、候補遺伝子は53種存在することを見出した。開発してきたモノリスカラムによるプロテオーム解析から、この9種の酵素タンパク質個々が「バイオマスの種類により、時間とともに変化する」という興味深い事実を発見した。この微生物の機能を用いて、バイオマスを分解して利用するための「未来型バイオマス前処理」として、この実働9種のタンパク質のゲノム53種からの選別発現の分子機構の全貌を解明する。 本年度は、セルロソームのプロテオームを、経時的かつ、定量的に解析することにより、基質ごとのセルロソーム構成の酵素タンパク質群の相互定量から全貌を明らかにした。候補遺伝子は53種から9種の酵素タンパク質個々が「バイオマスの種類により変化する」ことや、「時間とともに変化する」という興味深い事実を検証できた。 この微生物の機能を用いて、バイオマスを分解して利用するための「未来型バイオマス前処理」として、各種バイオマス源の代謝系や基質による転写制御系の解明ができ、各種バイオマスに対応した利用系を確立できた。
|