研究課題
土壌中で不活性化されたリンの形態には、代表的なものとしてリン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト)、リン酸アルミニウムおよびリン酸鉄が考えられた。そこでこれらの不活性リン化合物をリン源として、様々な土壌サンプルから微生物の分離を試みた。その結果、いずれの不活性リン化合物に対しても、これを利用できる微生物の取得に成功した。リン酸カルシウムについては、微生物が細胞外に排出する有機酸によるpHの低下が基本的な可溶化機構であり、この効果は塩酸などの無機酸による低pH化によっても、同様の結果が得られることが分かった。しかし、リン酸鉄およびリン酸アルミニウムについては、有機酸によるpH低下では可溶化の機構を説明できないことも明らかになった。いずれの場合も、微生物がなんらかの金属キレート効果を持つ物質を細胞外に生産し、この物質の関与により不活性リンが可溶化されていることを示唆するデータが得られた。
2: おおむね順調に進展している
不活性リンを可溶化する微生物の探索が予定通りなされ、その可溶化機構についても順調に明らかになってきている。また、非晶質ケイ酸カルシウムによるリン回収機構についてもいくつか重要な知見が得られており、研究期間内に世界で最も安価なリン回収技術の開発が可能になると考えている。
不活性リン可溶化微生物については、リン酸アルミニウムおよびリン酸鉄について、その原理の解明に力点を置く。また、非晶質ケイ酸カルシウムによるリン回収については、世界で最も安価なリン回収技術となるように、非晶質ケイ酸カルシウムの原料を廃棄物や副産物の中から選定することを試みたい。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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