研究課題/領域番号 |
25289295
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田谷 正仁 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60144127)
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研究分担者 |
尾島 由紘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20546957)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 巨核球分化 / CHRF細胞 / 血小板様体 / 倍数化誘導剤 |
研究実績の概要 |
巨核球系細胞株による血小板様体の産生は,いくつかの過程を経て進行する.浮遊系細胞であるCHRF株等の巨核球系細胞株に分化誘導剤を添加することで,非可逆的な巨核球分化が進行し,インテグリンの発現増大により培養面に接着する.その後,細胞質分裂を伴わない細胞内核分裂が進行することで巨核化し,最終的に巨大化した細胞の細胞質が分解し,血小板様体を産出する.この分化プロセスは,造血幹細胞からの巨核球分化ならびに血小板産生とも類似する現象である.平成26年度は,細胞株としてCHRFおよびK562を使用し,これらの細胞の分化プロセスに影響を与えるパラメータについて,実際の造血幹細胞との相違点を明らかにした.具体的には,新規な倍数化誘導剤BMS-777607の添加によって巨核化と表面マーカーの発現量が大幅に促進することを確認した.特にCHRF細胞については,巨核球分化プロセスから産生した血小板様体の量的ならびに質的評価を行った.結果として,BMS-777607の添加により回収された血小板様体の量は減少したものの平均的なサイズが増加することが明らかとなった.またフローサイトメーターを用いた解析により,表面マーカーとしてCD41の発現量の増加が確認された.一方で,CD42bに関しては実際の造血幹細胞と比較するとBMS-777607添加の有無に関わらず低い発現量であった.この傾向は,リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現量の解析によっても裏付けられた.以上の結果により,CHRF細胞から産生される血小板様体の機能化には,CD42b発現量の向上が重要であることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規な倍数化誘導剤の添加により,細胞株であるCHRF細胞の巨核球系分化の促進を達成することができた.これにより,細胞株から産生される血小板様体の機能を高めることができた.さらに,産生された血小板様体のより詳細な特性評価を行い,最終的な目標である正常血小板の生産に必要な因子を解明することに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討により,CHRF細胞より産生される血小板様体の量的・質的評価を行った.最終年度は,予定通り得られる血小板様体の機能を向上することを目的とし,遺伝子組換えによりCHRF細胞に対象遺伝子を導入し,血小板様体の産生と機能に与える効果の評価を行う.
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