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2014 年度 実績報告書

無細胞ディスプレイ技術による次世代低分子抗体医薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25289298
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

土居 信英  慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50327673)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード蛋白質 / 進化 / バイオテクノロジー / がん / 免疫学
研究実績の概要

Fc受容体結合ペプチドの試験管内選択では、前年度にFcγRIIaおよびFcγRIIIaの細胞外ドメイン(以下ecFcγRIIaおよびecFcγRIIIa)をベイトタンパク質として、16アミノ酸残基のランダムペプチドライブラリーの中から、mRNAディスプレイ法による5ラウンドのセレクションにより得られたFc受容体結合ペプチドの候補配列について検証を行った。まず、得られた候補ペプチドをEGFPに融合したタンパク質を大腸菌で大量発現し、Hisタグを利用して精製した。その後、表面プラズモン共鳴法(SPR)により親和性を評価したところ、新規のecFcγRIIa結合ペプチドを同定することができた。また、その結合の解離定数は3.9 μMであった。
二重特異性抗体の試験管内進化では、まず、モデルとなる2種類の抗原に対する抗体遺伝子を組み合わせたDiabody型およびタンデムscFv型のフォーマットの二重特異性抗体を作製し、それらの機能を確認したところ、Diabody型では結合能が維持されていたが、タンデムscFv型では結合が確認できなかった。そこで、前年度に確立した共有結合型DNAディスプレイ法を用いてDiabodyの試験管内進化を行うこととし、実際に、モデル抗原を用いたDiabody遺伝子の試験管内選択の条件検討を行い、目的遺伝子が濃縮される条件を決定した。そこで、次に、既に論文・特許で公開されている配列情報を元に自己免疫疾患の標的である2種類のサイトカインおよびそれらに対する抗体の遺伝子DNAを合成し、ベイトとなるサイトカインの大量調製およびDiabody型遺伝子の構築を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画の目標を概ね達成することができた。

今後の研究の推進方策

まず、二重特異性抗体の試験管内進化では、前年度までに確立した共有結合型DNAディスプレイ法を用いて、実際に自己免疫疾患の標的である2種類のサイトカインに対するDiabodyの試験管内進化を行う。ベイトタンパク質の発現では、前年度までに、大腸菌、動物細胞および植物細胞を用いて検討したが、選択実験に十分な発現量が得られなかったことから、今後は、ブレビバチルスを用いた発現系の検討を行う。その後、前年度に構築したDiabody遺伝子にランダム変異を導入したライブラリーを作製し、DNAディスプレイ法による試験管内進化を行う。このとき、標的とする2種類のサイトカインを個別に固定した2種類のビーズを段階的に用いて、両者に結合する抗体を選択する。得られた二重特異性抗体について、大腸菌またはCHO細胞などの培養細胞における大量発現を行い、HisタグやFLAGなどのアフィニティー・タグを利用して精製する。その後、ELISA、ウェスタンブロッティング、表面プラズモン共鳴法などの手法を用いて、抗体の親和性・特異性・安定性などの特性評価を行う。
また、PURE mRNAディスプレイ法および共有結合型Bicistronic DNAディスプレイ法の応用として、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)に対するアゴニスト抗体および超耐熱性抗体の試験管内選択についても検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Structural basis for inhibition of the MDM2:p53 interaction by an optimized MDM2-binding peptide selected with mRNA display2014

    • 著者名/発表者名
      Nagata, T., Shirakawa, K., Kobayashi, N., Shiheido, H., Tabata, N., Sakuma-Yonemura, Y., Horisawa, K., Katahira, M., Doi, N., Yanagawa, H.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 9 ページ: e109163

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0109163

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] PURE mRNAディスプレイ法を用いた翻訳停止ペプチド配列の試験管内選択2014

    • 著者名/発表者名
      南雲優,水原真実子,藤原慶,堀澤健一,柳川弘志,土居信英
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-27
  • [学会発表] 膜融合促進ペプチドB18およびB55による生体高分子の細胞内送達2014

    • 著者名/発表者名
      新倉啓介,藤原慶,堀澤健一,土居信英
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-26
  • [学会発表] 共有結合型バイシストロン性DNAディスプレイ法による抗体Fab断片の試験管内進化2014

    • 著者名/発表者名
      小宮尚子,住田壮,藤原慶,堀澤健一,柳川弘志,土居信英
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-25
  • [学会発表] Bindin由来膜融合促進ペプチドを用いた膜透過抗体および膜透過促進抗体の構築2014

    • 著者名/発表者名
      新倉啓介,堀澤健一,土居信英
    • 学会等名
      第30回日本DDS学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-07-30

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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