研究課題
基盤研究(B)
1.研究実績の概要本年度はまずレーザー発振機本体の経年劣化に伴うビームプロファイル形状の歪みを安定化させるために共振ミラーの交換を含む装置全体のオーバーホールを行った.その結果,局所的な強度ピークが抑制され,レンズ,窓の破損確率を大きく減少させることができた.一方で,オーバーホール費用を賄うため,当初予定していた高排気量油拡散真空ポンプの購入を次年度に繰越,今年度は高真空化による気流拡大ではなくレーザー維持プラズマ(LSP)の振動が気流特性へ及ぼす影響について検証した.気流特性は電流変調型レーザー吸収分光法を用いた.LSP振動数は過去の研究から50 Hzとその倍波であることがわかっているため,それより一桁以上大きい3 kHzの掃引周波数で測定を行い,気流の流速,並進温度の時間履歴を測定した.その結果,気流からの発光強度は47 %変動しているにも関わらず,流速,並進温度は数%から10 %程度しか変動していないことがわかった.これはレーザー吸収分光法が気流中心での値であるのに対し,発光強度は気流全体からの空間積分した値であるためだと考えられる.つまり,LSP振動により気流中心の気流特性はほとんど変動しないが,気流全体の平均値,特に半径方向外側の気流特性がLSP振動により大きく変動していることを示唆する.従って,今後はLSP振動の抑制による気流特性の時間変動の一様化及び気流拡大による空間分布の一様化が課題となる.以上の結果はAIAA Journalへ投稿し受理された(2014年4月現在).
2: おおむね順調に進展している
LSP振動の気流特性への影響を検証することで,気流特性の一様化には空間だけではなく時間変動を抑制することが必要であるとの課題が得られた.
次年度は高排気量油拡散ポンプを購入し,背圧を下げることで気流を拡大し,空間分布を測定する.またLSP振動が気流特性の空間分布へ及ぼす影響を定量的に評価し,作動ガスに擾乱を与える等の方法により振動の抑制を試みる.
レーザー発振機本体の経年劣化に伴うビームプロファイル形状の歪みを安定化させるため共振ミラーの交換を含む装置全体のオーバーホールを行った。これにかなりの時間と費用を費やしたことにより、当初購入予定していた高排気量油拡散真空ポンプの導入による排気環境の改善による実験は次年度に繰り越すこととなった。当初予定していた高排気量油拡散真空ポンプの購入を次年度に繰越、今年度は高真空化による気流拡大ではなくレーザー維持プラズマ(LSP)の振動が気流特性へ及ぼす影響について検証した。次年度では高真空化による気流を拡大し、気流特性の空間分布測定の精度を向上させる。これに加えて高い時間分解能を持ったレーザー吸収分光法により、振動と気流特性の関係を明らかにする。また、定常LSPに関する数値計算コードの構築を行い、実験結果と比較し、計算コードの妥当性を検証する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
AIAA Journal
巻: なし
Frontier of Applied Plasma Technology
巻: 6