研究課題/領域番号 |
25289302
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
荒川 義博 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (50134490)
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研究分担者 |
小紫 公也 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90242825)
松井 信 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90547100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高速原子状酸素 / 地球低軌道 / レーザー維持プラズマ / プラズマ診断 |
研究実績の概要 |
本年度は風洞性能を評価するための酸素原子数密度測定システムの開発を行った.本システムは基底準位からの禁則遷移を用いたレーザー吸収分光法(LAS)であり,波長変調分光法(WFM)と集積キャビティ出力分光法(ICOS)を組み合わせることで高感度化し,風洞気流条件での測定を可能とするものである. まず,WFMとICOSをそれぞれ構築し,アルゴンプラズマを用いて感度を検証したところLASに比べ感度がそれぞれ40倍,1,600倍向上したことがわかった.次にこの二つを組み合わせたところ波長変調により共振条件が満たされず条件によっては逆に感度が低下することがわかった.そこで変調周波数,掃引周波数,ロックインアンプの時定数をパラメータとして波長変調と共振条件の干渉ができるだけ少ない測定条件を数値計算及び実験により検証し,最大で感度を30,000倍程度向上させることに成功した.そこでこのシステムをマイクロ波放電酸素プラズマに適用したところ禁則遷移の吸収信号を取得することに成功し,吸収長100 mmに対し,酸素原子分圧25 Pa以上での測定が可能となることがわかった.この条件は風洞気流条件に比べ同等かファクター程度感度不足であり,今後の拡散ポンプ使用を考慮するとさらに一桁以上の感度向上を行う必要がある. レーザー風洞本体に関して,本年度排気量2000 l/sの拡散ポンプの導入が完了した.これにより,作動ガスが1slm時で背圧は0.5 Pa程度まで下げることが可能となり気流径の拡大化が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基底準位の酸素原子数密度を測定する手法を新たに確立し,風洞性能を正確に評価することが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度末に高排気量油拡散ポンプ導入が修了したため,来年度は背圧を2桁以上下げることで気流を拡大し,流速及び酸素原子数密度の空間分布を測定し風洞気流の性能を評価する.また軌道上に近いさらなる低圧環境を実現するために1slm以下でのレーザー維持プラズマ着火を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で用いる既設の実験装置の内、真空排気系の不具合が起きて、それを改修するために実験手順と実験部品の購入時期に変更があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度前半に26年度中に購入予定だった実験部品を納入して当初の研究計画通り進める予定である。
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