研究課題/領域番号 |
25289304
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小泉 宏之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (40361505)
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研究分担者 |
鷹尾 祥典 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80552661)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イオンスラスタ / 小型衛星 / プラズマ / 数値計算 / PIC / ECR / 小型推進 |
研究概要 |
本年度の研究成果を以下にまとめる 【レーザー分光システムの高精度化】波長変調法による高感度化吸収分分光法により,短寿命の励起中性粒子計測を実施した.当初想定していた周波数変調法は,高い感度上昇が見込めるものの,マイクロ波を使ったシステム実装の難易度が高いため,同種の高感度法である波長変調法を採用した.この方法により感度の低い短寿命励起中性粒子密度の測定に成功した.これまで測定していた長寿命粒子に比べて,局所的なプラズマ情報を得ることができた. 【数値計算検証用の可視化プラズマ源の改修】現行の数値計算モデルに次の3項目:(1) 1/4対称構造,(2)不要空間の排除,を導入し計算コストの削減を実施した.さらに,検証に使用するプラズマ源の形状も合わせて回収することにより,計算と実験のモデルを合致させ,確実な検証が可能な装置へと改修した. 【計算コストの低減方法の確立】実験結果との対比を実施しながら,数値計算に必要な条件を明らかにした.具体的には,1/4対称構造採用による計算コスト低減の可否,PICに要する計算格子幅,安定計算に必要な超粒子数の数,マイクロ波/イオン/電子のための時間ステップなどである.また,並列化を進め計算コストの削減を実施した.以上の結果,静電PICを用いた計算結果と実験結果との比較を行い良好な合致を得た. 【中和器電子放出特性の測定】イオン源と電子源は同じプラズマ源であるが,イオンビームの引き出しによる内部圧力低下を伴うイオン源は計算との比較が難しい.一方で中和器からの電子放出は比較的容易に計算との比較が可能である.さらには,電子放出の詳細機構に関しては明らかになっていない.以上の理由により,FEMP3の検証ならびに実用化の両面から,オリフィス形状が電子放出特性に与える影響を明らかにした.この結果,従来よりも大きな電子電流を得るオリフィス形状の指針が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,実験と計算の両面から進めており,当初の目的とは異なる方向に研究が進むこともあるが概ね順調に進展を進めている言える.計算に関しては,当初目的としていた高感度法から別の方法へと変更したが,高感度分光法として短寿命励起中性粒子の測定には成功した.また,電子源に対しては,当初の目的にはなかったが従来よりも高い電子電流を引き出すオリフィスを開発することに成功した.計算に関しては,EM-PICへの移行という点ではやや遅れているが,計算コストの低減や実験検証との比較などの点では計画よりも進んだといえる.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には,従来通りの推進方法をとる.
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次年度の研究費の使用計画 |
電子放出オリフィスの実験の割合を増やししたため,炭化水素系ガスの実験を追加したため,ヘリウムリークディテクターの購入を次年度に見送ったため,マイクロ波電源の購入を見送ったため,クライオポンプのオーバーホールが必要となったため ヘリウムリークディテクタの購入に使用する
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