研究課題
【水イオンスラスタの提案と基本性能取得】キューブサット用のイオンスラスタとして,キセノンに代わり水を推進剤とする新しいイオンスラスタの提案と基本作動の実証に成功した.水を供給した状態でのプラズマ着火に成功,数十時間の作動における酸化の影響がないことの確認,そそして,イオン源からのイオンビーム放出および中和器からの電子放出に成功した.【改良型イオンスラスタシステムの提案】本研究課題の成果を利用した世界初小型新宇宙探査機PROCYONにおけるイオンスラスタ作動の結果をうけて,その改良版イオンスラスタシステムの考案を実施した.具体的には,イオン源と中和器の流量独立制御,スラスタ冗長構成における冗長流量制御の2機構を,3次元プリンタ技術を用いて小型化(従来と同じサイズ)に成功した.【数値計算コードFEMP3による電子輸送過程の解明】これまでのES-PICであった計算コードをEM-PICへ拡張し,プラズマ源内部の電子輸送過程の解明を進めた.この結果,電子の輸送は,1)周方向に発生する電位振動(電位不安定性に由来するもの),2)電位振動によって生じる電子ExBドリフトによる磁場直行輸送,3)オリフィス近傍の3次元電位構造に起因するExB輸送,によってオリフィスを通過していくことが明らかとなった.
1: 当初の計画以上に進展している
本研究,最大の目的の1つであった,電子の磁場直交輸送に関して,数値計算を通した解明が実施できた.また,当初の計画にはなかった水イオンスラスタの作動という,次世代の超小型衛星の核となる技術の実証に成功した.
数値計算において,電子の加熱過程の解明を進めたい.実験においては水イオンスラスタの推力測定と性能向上のための基礎データを取得していく
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日本航空宇宙学会論文集
巻: 64 ページ: 131-138
http://doi.org/10.2322/jjsass.64.131
Transactions of Japan Soc. for Aeronautical and Space Sci., Aerospace Technology Japan
巻: 未定 ページ: 未定
Journal of Applied Physics