研究課題/領域番号 |
25289309
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
小島 広久 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (50322350)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Control Moment Gyros / ジンバル駆動則 / 適応則 / 故障同定 / 特異点 |
研究概要 |
耐故障性を高めるためにアクチュエータの冗長性を増やし,また稼動部の自由度数を増やした宇宙機アクチュエータは,その分,故障する箇所も増え,故障ごとの対処方法を事前に用意・試験検証することは困難である.本研究では,可動部が多い宇宙機アクチュエータである可変速度コントロールモーメントジャイロシステムを対象とし,故障組合せへの考慮・地上試験が不完全であっても,宇宙へ打ち上げられた後に対応できる故障個所の①自動認識,②パラメータ自動調整機能,③制御則の自動切換え選択機能を有する高度で自律的な制御ロジックを開発し,④検証することを目的とする. 25年度の当初予定では,ピラミッド配置(非直交配置)にある2個のCMGによるフィードバック型の制御則の構築を目指していたが,故障した状態を評価・認識するには,故障していない状態の制御性能をよく調査しておく必要がある,またパラメータ自動調整機能を開発する上で,パラメータの違いが性能のどう影響するか評価しておくことが重要と考え,重み変数を様々に変化させてASCMGにおける幾つかの駆動則の性能評価を行った。その結果,ヌルモーションを含むゲインスケジュールASCMG用ジンバル駆動則は,パラメータを適切に選ぶことにより,スキュー角固定CMGジンバル駆動制御に比べ,マヌーバ初期・中盤での姿勢の擾乱が少なく,整定時間が短く,マヌーバ終盤でのオーバーシュート量は同程度に少なくでき,かつスキュー角が従来角度へ戻る傾向を有することが分かった.故障同定に関しては,CMGが発生できるトルクが計測できるものと仮定し,無故障状態の発生トルクとCMG1ユニットが故障したと仮定したときの発生トルクを計算機の中で同時に計算し,その差から故障ユニットを推定する基礎的なシミュレーションを実施した. また,H27年度予定の実験装置作成に先行して着手し,機構部分の製作を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度当初の計画「2個のCMGによるフィードバック型の制御則の構築を目指す」だけを見ると遅れているが、①故障がない状態の制御性能の詳細なデータ、すなわち、故障状態をより正確に評価・判定するための基礎データが得られた、また②実験装置の機構部分の製造を先行して行うことができたことから、次年度以降の計画の一部を先行して実施できたので、全体的に見ると計画としては予定どおり進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
①実験装置の電子回路部分の作成を行うことで、H27年度に行う予定であった実験装置の製造を先行しておこなう。 ②H25年度に行う予定であった「2個のCMGによるフィードバック型の制御則の構築」に関する研究を引き続き行う。この計画の一部は実施済みであり、姿勢変更角が大きい場合はフィードフォワード型よりは整静時間が短いという結果が得られたが、姿勢変更角が小さい場合は性能が劣ることが判明した。この結果を踏まえ、制御性能のより詳細な評価、またその評価を踏まえた制御手法(具体的にはスライディング曲面の構成方法)の改良にまでは至っていないので、H26年度はこの点について重点的に研究を行う。 ③CMG取り付け角誤差推定法を参考に,故障ユニットを同定し,それに応じて制御則が自動的に変化する適応則を研究協力者と共同で構築する.そして,代表的な故障パターンを選び出し,構築した制御則切換え法(適応則)の妥当性,すなわち,故障ユニットの同定,重みの自動調整,故障ユニットの不活性化すなわち制御則の切り替えが正しく行われることを,数値シミュレーション及び地上実験装置にて実験検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
大型備品の金額に差異が生じたため 次年度に物品費に組み込み、使用する予定
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