研究課題
基盤研究(B)
本研究では、地球周回超小型人工衛星には最も望ましいと考えられる、電熱加速型パルスプラズマスラスタに特化し、その高性能化(高インパルスビット(1mNs以上)、高総インパルス(10000Ns)、推進機システムの高耐久性、軽量化(10kg)、高作動安定性(連続ミスショット無し)を達成し、50kgの超小型人工衛星の軌道変更・維持能力として、総軌道高度400kmの変更、軌道高度200kmにて1ヶ月間の大気抵抗補償を可能にさせる。超小型衛星ではあるが、地球周回軌道上の動力飛行を目指す。本研究によって得られた結果を以下に述べる。1.パルスプラズマスラスタPPTの大電力を行うことで,放電室直径4mm,放電室長さ25mmの条件で最大2056マイクロNsのインパルスビットが得られた。全条件を見ても超小型衛星プロイテレス1号機搭載用PPTに比べて10から13倍のインパルスビットが得られることが分かった。2.固体推進剤供給機構を持ったSide-fed型PPTは,長時間作動が困難であり,大型プロイテレス衛星2号機搭載用PPTには不向きであると判断した。3.初期の多放電室型PPTでは,イグニッション放電を選択した放電室以外の放電室にもテフロンが昇華したような誘発現象が起きる。4.放電室密閉式多放電室型PPTの開発によって,誘発現象という問題の解決に成功した。5.最小誘発距離試験によって,放電室密閉式多放電室型PPTでは放電室間距離0mmでも誘発現象は起こらないことが分かった。6.初期の多放電室型PPTの誘発原因としてカソードとアノードに蓄積された熱が原因であるという考察が有力となった。
2: おおむね順調に進展している
現在運用中の超小型人工衛星プロイテレス1号機でのパルスプラズマスラスタの作動は衛星の運用不安定によりまだ準備中であるが、地上実験により大電力の新型パルスプラズマスラスタの開発は順調に進んでおり、研究計画全体としては予定通りの成果が得られている。
推進剤テフロンの供給機構を無くし、複数のテフロン製放電室(キャパシタも分割接続)を単一のイグナイタで点火させる。実質的な推進剤表面積を増加させ、個々の放電室の形状変化を押さえる。個々の放電室に供給されるエネルギー量は小さくなり個々のインパルスビットは低下するが、複数放電室による総インパルスビットはあまり変わらないと期待される。3-9放電室誘発型PPTを設計・試作し、推進性能の測定、連続作動試験を行う。得られた実験結果と流れ場の数値計算の結果から、内部物理過程の推定、それらと初期推進性能・連続作動特性との相関関係を検討し、達成される総インパルスビットを高める方法を提案する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
33rd International Electric Propulsion Conference (33rd IEPC), George Washington University, Washington, D.C., USA
巻: IEPC-2013-103 ページ: 1-10
巻: IEPC-2013-102 ページ: 1-10
巻: IEPC-2013-100 ページ: 1-10
巻: IEPC-2013-099 ページ: 1-10
巻: IEPC-2013-097 ページ: 1-10
http://www.oit.ac.jp/med/~tahara/jp/index-j.html