研究課題/領域番号 |
25289313
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北澤 大輔 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30345128)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自動揚網 / ポリエチレンパイプ / 浮沈 / 水槽模型実験 / 剛性 |
研究実績の概要 |
縮尺比1/100、または1/121の定置網模型に対し、複数本の高密度ポリエチレンパイプの模型を製作した。パイプ模型の製作においては、直径の縮尺比や浮力、沈力の力比、剛性を一致させる必要があるが、極めて困難であるため、浮力、沈力の力比と剛性を概ね一致させた模型を製作した。東京大学生産技術研究所附属千葉実験所の海洋工学水槽に定置網模型を設置し、箱網模型の下にパイプ模型3本または4本を設置した。パイプ模型の中央部に給排気口を設け、エアコンプレッサーによって定量で給排気を行った。その結果、パイプ模型を互いに連結させない場合は、流速条件によって、パイプ模型の浮上位置が異なり、魚を追い込むことができないと判断された。そこで、パイプ模型同士を連結するとともに、独自の係留索につなげることによって、浮上位置が安定することが確認された。 また、パイプ模型に光源を取り付け、2台の水中ビデオカメラで光源の動きを計測することによって、パイプ模型の形状や運動を計測した。光源の位置が認識できない等の問題も発生したが、水中ビデオカメラによる映像からの情報も含めて、パイプ模型が水底から浮上した後、三枚口方面に引き寄せられた後、想定した位置に浮上することを確認した。この挙動は、魚を追い込むのに適していると考えられる。 さらに、水中ビデオカメラによる映像から、パイプ模型間で垂れ下がる箱網模型の二次元形状を解析した。静水中において、懸垂曲線を仮定することによって、パイプ模型にかかる鉛直方向の力を推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、水槽模型実験において、パイプ模型を実機から相似則によって決まる仕様に近づけることができたこと、水中モーションキャプチャーシステムを導入することによって、パイプ模型の3次元的運動を把握できるようになったことなど、多くの進展が見られた。数値解析はやや遅れているが、実験手法の確立が予定よりも進んでいるため、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、実機から相似則によって導かれる直径、浮力、沈力、剛性等のパラメータになるべく近づけるパイプ模型を作成し、東京大学生産技術研究所附属千葉実験所の海洋工学水槽において、パイプ模型の浮上時の形状と、パイプ同士の連結ロープ、あるいは揚網システムの係留ロープにかかる力を計測する。また、パイプ模型の運動、曲げ剛性を明らかにするための数値解析モデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、水槽模型実験が概ね順調に進んだため、物品費等は概ね使用したのに対し、数値解析モデルの開発は簡易的なものにとどまっているため、ソフトウェア使用料などが次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、次年度使用額を人件費・謝金とソフトウェア使用料に充てて、より高度な水槽模型実験とともに、数値解析モデルの開発を進める。
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