本研究の目的は舶用ディーゼルエンジンの排ガス処理技術として,高濃度な微粒子(PM)を高効率捕集し,そのPMを連続的に酸化燃焼させるセルフクリーン技術と一酸化窒素(NO)をプラズマによりNO2に酸化させ,スクラバーにより浄化する装置の開発である。PMの酸化燃焼とNOの酸化にはプラズマにより発生するオゾンと低温酸化触媒を用いたハイブリッドシステムを採用する。また, PMの再飛散現象を抑制するため,独自に開発した電気集じん装置(ホール型ESP)を採用し,スクラバは海水を用いる。これらのシステムにより革新的で経済的なPM・NOx浄化処理技術を確立する。 本年度では,平板ホール電極を有するホール型ESPにおいて,最適な電極構成の検討おこなった。また,PMをバリア放電(DBD)リアクタと触媒で酸化燃焼させる際のガス温度の検討も行った。さらに,集じんプロセスの3次元シミュレーション解析や海水スクラバーの最適化を行い以下のことが明らかとなった。 ①平板ホール型ESPでは,より再飛散現象を抑制することができた。また,最適な針-ホールの位置関係も抽出できた。②DBDと触媒によるハイブリッド処理により,PM燃焼効率が向上した。③ホール型ESP内の流体シミュレーションでは,主流体とイオン風の解析を行い,ホール電極にイオン風が吹き込まれる条件を検討した。④SOx浄化用湿式スクラバの性能向上のため,電気分解による海水のpH上昇とアルカリ度増加に関して,海水成分の影響を検討した。 以上の成果は学術雑誌に掲載し,学会発表を行った。
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