研究課題
主に亜酸化銅を防汚剤とする2種類の防汚塗膜を対象に、塗装試験片を実海域に約3年間程度浸漬させ,表面処理を行わなかった試験片にフジツボ類が最初に付着した平均浸漬日数が850日程度で塗料種類による大きな違いはないこと、表面粗さの減少に伴いフジツボ類の付着数が減少する傾向を示す等、フジツボ類の付着状況と防汚塗膜の表面粗さの影響などを明らかにした。また、表面粗さの異なる塩化ビニル製の試験片等を対象に、フジツボ類のキプリス幼生を用いて試験片への付着試験を行った。試験結果にばらつきもみられるが、平滑面よりも粗面により多く付着する傾向が見られた。静岡県下田市のココポーマアカフジツボを対象に、1カ月毎に形状、卵巣の有無や卵塊(受精卵)の胚の発生ステージの観察を行い、繁殖時期(抱卵率)や胚から孵化までの所要時間を計測した。調査の結果、抱卵率は夏季の7月から8月が約40~50%と高いこと、また、胚の孵化時間と孵化率は水温に依存し、水温26℃で最大の孵化率と最短の孵化日数となることなどを明らかにした。走査型電子顕微鏡による防汚塗膜の断面画像を入力データとして、セルオートマトン法により防汚塗膜の経年変化を予測するシミュレーション手法を構築した。実船や様々な防汚塗料への適用には、海水の樹脂内の拡散係数や防汚剤の反応速度等のパラメータを設定する必要があるが、長期浸漬試験を行った防汚塗装面を対象に、一般的と考えられるデータを用いてシミュレーションを行い、開発した手法の妥当性を確認した。船体付着によるフジツボ類の越境移動の確率を解析する手法を作成し、ココポーマアカフジツボを対象に実船の航海履歴に基づいて越境移動の確率を解析した。ココポーマアカフジツボが付着した海域・港の推定や生存率の低下の主な要因が停泊中の低塩分濃度であること等、フジツボ類等の船体付着による越境移動の定量的評価の可能性を示した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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2016年度日本付着生物学会総会・研究集会 講演要旨
巻: 1 ページ: 4-4
第85回(平成27年)マリンエンジニアリング学術講演会 講演論文集
巻: 1 ページ: 51-52