研究課題/領域番号 |
25289329
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研究機関 | 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター) |
研究代表者 |
倉本 和興 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), その他部局等, 教授 (50524500)
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研究分担者 |
浅田 昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60323648)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海洋工学 / 海洋探査 / 可視化 |
研究実績の概要 |
海難事故、災害時における海上保安庁の海中捜索、救助業務は、人命救助の観点からも緊急性が求められ、また海中の状況が未確定であっても潜水捜索を実施せざるを得ない危険性を伴う過酷で特殊なオペレーションである。このような海上保安庁の特殊な海中捜索オペレーションを迅速かつ安全に、しかも限られた現勢力の中で効率的に行うためには、高い視認性を持つ水中音響映像技術で海中の状況をその現場であるいは予め把握し、得られた画像を物理的な空間情報として可視化・数値化を行い、その情報を基に海中捜索、救助活動を行うのが有効となる。本研究では、海上保安庁の特殊な海中捜索オペレーションを迅速かつ安全に実施し、捜索活動のより一層の効率化、精度化を図ることを目的に、高分解能のイメージングソーナーを有効に活用し、海中捜索に最適化した新たな技術的な開発を行う。 次年度においては、高分解で船舶への艤装等も容易となる極めて高度化・小型軽量化された新たな機種(R2 Sonic 2024/2022)をソーナーヘッドとして使用する事に方針変更し、当機を使用した海中捜索の支援システムに必要とされるソフトウェアの要素技術の開発を行った。具体的には、捜索時のリアルタイム機能としてR2 Sonic 2024/2022を使用したソーナー画像の海図上または航空写真上への表示機能の開発、後処理機能として広域捜索モザイク画像の作成機能の開発を行った。また、実際の海域において船舶にシステムを搭載して実証試験を実施し、海中捜索支援のためのソフトウェアの動作確認を行うと同時に、今後の捜索支援技術全体の改善を図るための実海域でのソーナーデータの取得を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、海中捜索支援に使用するソーナーとして、先の文部科学省科学技術振興調整費によるプロジェクト研究(平成17年度~平成19年度)で開発された高分解能のイメージングソーナー(SeaBat7123)を有効に活用することで研究計画を策定していた。しかしながら、近年、海底地形探査や水深測量のためのナローマルチビーム測深機として、高分解で船舶への艤装等も容易となる極めて高度化・小型軽量化された新たな機種(R2 Sonic 2024/2022)が開発され、当機が測深、測量の現場で主流となりつつある。海上保安庁においても各管区海上保安本部のすべてのナローマルチビーム測深機がR2 Sonic2024(測量船船底艤装用)および2022(測量船搭載艇用または測量船のない管区本部については傭船用)に更新、配備された。測深機と前方照射型のイメージングソーナーは、送波ビームの方向、計測方法等が幾分異なるものの基本的には同じで、条件を整えればいずれの使い方も可能となる。以上の様な最近の技術的・政策的動向などから、次年度(平成26年度)以降においては海中捜索を行うソーナーヘッドとしてR2 Sonic 2024/2022を使用することに方針変更し、当機を使用した海中捜索の支援技術の開発を行う事とした。この方針変更を年度の早い段階で行ったため、ある程度の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(平成27年度)においては、停船時においても前方のリアルタイムの映像が即座に得られるというイメージングソーナーの最大の特徴を活かし、ダイバーによる潜水捜索時の後方支援機能等の要素技術の開発を行う。また、捜索現場においてより使いやすいものにするため、目標物捜索時の位置情報およびソーナー画像の保存機能、海図上への海中異物マーカー表示および呼び出し機能、広域捜索モザイク画像の作成後の海中落下物等のラベリング機能、形状・大きさ等の各種測定および表示機能などの付加機能の開発を行う予定である。更に、これまでの要素技術を海中捜索支援システムとして統合、PCへのソフトウェアの組み込みを行い、海上保安大学校の実習艇の他、実際の船舶に搭載して海中捜索支援技術の検証、改善を図ってゆく。 場合によっては、海上保安庁の全国管区内の現場海域において実際に発生した事故、事件の現場へ当システムを適用し、海中捜索支援技術としてのより実際的な有効性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を発表する旅費の東京1回分の未使用額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度5月に東京で開催される海洋音響学会において、研究発表のための旅費として使用の予定である。
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