研究課題/領域番号 |
25289330
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 弘 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (90188045)
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研究分担者 |
深川 良一 立命館大学, 理工学部, 教授 (20127129)
里見 知昭 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (80588020)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 建設機械 / 災害復旧 / リサイクル / 泥土処理 / 環境修復 / 機械施工システム |
研究実績の概要 |
従来の繊維質固化処理土工法はバッチ式であり,災害現場で発生した大量の軟弱泥土を短時間で処理することは困難である.そこで本研究では,1.泥土を機械内部の混合容器に取り込み,2.泥土と古紙破砕物およびセメント系固化材を均等に混合し,3.改良土を機械後部から排出して直ちに転圧を行う作業を1台の機械で実現するシステムの開発を目的とした.平成25年度では現場への適用性を重視し,軟弱泥土を機械内部に取り入れて添加材と混合する方式ではなく,添加材を機械前面に投入し,機械に設置した撹拌部分で泥土と添加材を混合する方式に改良した.平成26年は,主として機械要素技術の開発を行った.初めに繊維物質入りセメント系固化材を作成するため,古紙破砕物を粉砕し,固化材と混合したが,その際の粉砕サイズについて検討した.次に撹拌時間について検討した結果,目標強度を短時間で達成するためには,2分程度の撹拌時間は必要であることを確認した.さらに泥土と固化材の混合を行う混合羽根に関して,羽根の角度やピッチを種々に変えた撹拌羽根を作成し,最も短時間で目標強度を発現する羽根の取り付け角度を決定した.また改良土の強度発現時間に関して転圧の有無の影響について検討し,30秒程度でも転圧を行うと,強度発現が早いことを確認した.以上のように連続式泥土処理機械のシステムを構築するためのそれぞれの要素技術について最適解を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度としては,概ね順調に進展していると考えている.研究当初は,泥土を機械内部に取り組み,機械内部で泥土と添加材を混合する方式を考えていたが,平成25年度の検討で,機械前面の撹拌部分(アタッチメント)で泥土と添加材を混合した方が構造的に簡易であり,この方式に変更した結果,より短い時間で改良土の強度発現が可能であることが確認された.平成26年度は,繊維質物質入り固化材の作成,最適混合時間の決定,最適撹拌羽根の決定,転圧機構の作成,改良土の強度発現に及ぼす転圧効果の有無などを明らかにすることができた.次年度は,これらの結果を1つのシステムにまとめ上げ,機械のトラフィカビリティーの評価,スケールアップのための相似則などについて考察する予定であり,そのための基礎データは平成26年度に得られたと考えている.つまり,総合的に判断して概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策は,当初計画とほとんど変更ない.平成25,26年度の成果により,泥土の含水比の適用範囲を明確にできたこと,機械開発のための要素技術について知見が得られたことから,平成27年度は,過去の災害現場における泥土の含水比を基に,適用範囲内の含水比で研究を進め,さらに機械要素技術を1つのシステムにまとめ,トラフィカビリティーについて評価する予定である.従って,大きな変更点はない.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は概ね計画通りに進捗したが,改良土を転圧する際,実際の施工を考慮し,重機による転圧(接地圧)と模型実験による転圧(接地圧)を同じ値にするため,相似則より模型使用時の荷重を計算した結果,模型に搭載するには大き過ぎる値となった.そこで,平成26年度は連続式処理機械の開発のための要素技術の検討という目的に鑑み,転圧装置は模型とは別途作成し,模型により改良した泥土を転圧装置に設置して転圧を行うことにした.その結果,転圧の効果を確認することができたので,初期の目的は達したが,改良から転圧までを行う一連の流れを確認するまでには至らなかった.そこで,改良部分と転圧部分の統合は平成27年度に実施することにした.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は,できるだけ早い時期に模型に搭載可能で,実機の転圧状態に近い転圧装置を考案する.転圧装置が完成した後は,改良部分と転圧装置を統合し,泥土を改良しながら前方に走行し,改良後,直ちに転圧を行って,開発した連続式泥土処理機械の有効性を実験的に検証する.転圧の効果は確認済みであり,改良部分は完成しているので,平成27年度は両者の統合だけであるので,特に大きな変更点はない.
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