研究概要 |
東北5地域における水文地質データのコンパイルを実施した。福島県・郡山盆地,山形県・山形盆地,宮城県・仙台平野,秋田県・秋田平野,青森県・津軽平野の5地域を研究対象地域として,既存の水文地質データの収集およびコンパイルを実施した。熱交換井が存在しない地域には,温度測定,水質分析のための採水を行った。水質分析については,現地にて水温,pH,電気伝導率(以下EC)を、弘前大学において主要溶存成分(陰イオン:F-,Cl-,NO2-,Br-, NO3-,PO43-,SO42-,陽イオン:Li+,Na+,NH4+,K+,Ca2+,Mg2+)を行った。酸素・水素安定同位体比に関しては外注作業により分析を行った。 また,東北5地域における三次元地下水流動・熱輸送モデルの構築を実施した。コンパイルした水文地質データに基づき,東北5地域における三次元地下水流動・熱輸送モデルを構築した。モデルの構築に当たっては,WASY 社の3 次元地下水流動・熱輸送解析コードFEFLOW を用いた。モデルの境界条件に関しては,流域全体におけるその地域の地下水流速や地下の温度分布を把握するため,周辺の山地・丘陵地の分水嶺を境界に設定した。マップ構築の基礎となる地下水広域流動系モデルは,過去の研究において構築したモデルを近年のTRT結果に基づいて更新し,地下温度プロファイルの計算結果と実測値の一致が改善することを確認した。次に,地中熱交換井の挙動に影響を及ぼす地下水位,地下水流速,第4系地盤厚さなどの熱交換量に対する感度を数値計算によって定量化し,これらパラメータに重み付けを行った。最後に,これらパラメータの平野内分布をGISを用いて統合し,秋田平野における地中熱適地マップを構築した。
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