研究課題
東北5地域を研究対象地域として,地中熱ポテンシャル評価手法の高度化を目的とし,既存の水文地質データの収集およびコンパイルを実施した。熱交換井が分布していない地域については,既存の観測井を用いて地下温度プロファイルの測定,水質分析のための採水を実施した。H27年度は,福島県・会津盆地における地中熱ポテンシャル評価,および秋田平野と津軽平野における地中熱ポテンシャル評価の高度化を実施した。地中熱利用のポテンシャル評価を行う際には,対象地域における地下水流動系とともに,地下の温度分布を把握する必要がある。そのため,収集した既存の水文地質データおよび現地地下温度測定データを元に,会津盆地における広域地下水流動・熱輸送モデルを構築した。その後,盆地内の20地点に対して単一熱交換井(GHE)モデルを構築し,熱交換量シミュレーションを行い,ポテンシャルマップとして熱交換量マップを作成した。秋田平野における地中熱ポテンシャル評価の高度化については,新たな適地評価方法として住宅における年間の冷暖房熱負荷を計算し,採熱シミュレーションを行うことで各地点の採熱に必要な熱交換井の長さを求めた。そしてGISを用いて地中熱交換井の長さを評価方法とした地中熱利用適地マップを作成した。その結果,秋田平野では地中熱交換井の必要長さが平野部で60mから90mとなり,北西の海岸部において短くなる傾向が示された。津軽平野については,地下水を直接利用するオープンループ型を想定し,冷凍空調器用水質ガイドラインを用いた水質評価を実施した。その結果,津軽平野では遊離炭酸の基準値超えが最も多く,次にpHで地下環境における有機物の分解に伴うCO2の生成が大きく寄与していることを示した。したがって,本地域におけるオープンループ型ヒートポンプの開発では遊離炭酸による腐食の耐久性が重要な課題となることを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件)
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