研究課題/領域番号 |
25289338
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 晃彦 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (90195355)
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研究分担者 |
橋冨 興宣 京都大学, エネルギー理工学研究所, その他 (80506858)
大村 高正 京都大学, エネルギー理工学研究所, その他 (30506861)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イオン照射硬化 / ODS鋼 / 再結晶化 / 結晶粒度依存性 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、3種類のODS鋼に再結晶処理を施し、結晶粒を粗大化させた材料に対し、初年度と同様のSwelling評価を行い、結晶が粗大化した際のODS鋼の耐Swelling 性を評価し、Swelling量に及ぼす結晶粒径や結晶粒形状の影響を明らかにした。15Cr-4Al-ODS鋼の1200℃における再結晶処理前後においては、平均結晶粒径は約2桁以上増大している。一方、この再結晶処理中での酸化物粒子は熱力学的に安定であり、その分布形態に大きな変化は生じていない。すなわち、ナノ粒子の成分や構造に変化を生じさせず、メゾスケールの結晶粒サイズを顕著に変化させたODS鋼を対象とした耐Swelling性評価試験ならびに照射硬化評価を実施した。イオン照射条件は、照射温度が300℃および470℃であり、照射量は10dpaおよび30dpaである。注入したHe量は、150appmおよび450appmとした。 まず、ボイドスウェリングに及ぼす結晶粒径の影響を評価した結果、再結晶処理前の材料においては、いずれの条件においてもボイドは観察されなかった。一方、再結晶処理材においては、470℃において、鉄イオンとヘリウムイオンの同時(Dual)照射(30dpa)した場合のみ、ボイドの生成が観察された。すなわち、結晶粒の粗大化はボイドスウェリングを促進することが判明した。しかしながら、スウェリング量は0.2%以内に収まっており、ODS鋼においては再結晶化後においても依然として、耐スウェリング性は高いと言える。 平成27年度は、注入He量を増大させ、ボイドスウェリング量のHe注入量依存性を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ODS鋼の耐スウェリング性が良いことから、スウェリング量が小さく、定量的な評価が困難になっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、He量を大幅に増大させて、実験を行う必要がある。照射温度を最もスウェリングの生じやすい470℃に固定し、He注入量およびHe/dpa比を変化させて、イオン照射実験を行い、He注入量の多い場合のボイドスウェリングに及ぼす結晶粒度の影響を明らかにし、ODS鋼の核融合炉材料としての可能性と限界について、耐スウェリング性から評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していたイオン照射実験がマシンタイムの不足から実施できず、そのための試料準備費用および加速器利用経費分が計上されなかったため。また、参加を予定していた国際会議などにおいて、招待講演者としての参加に伴う諸経費(交通費や登録費)の免除があったため。
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次年度使用額の使用計画 |
イオン照射実験の実施に伴う必要経費に充てるとともに、研究成果の公表のため、国際会議への参加のための旅費に充当する。
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