研究課題/領域番号 |
25289339
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 哲之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (40354568)
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研究分担者 |
山本 靖 関西大学, 工学部, 教授 (50158309)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ダイバータ / 熱流束 / タングステン / ELM / 低放射化フェライト鋼 / 銅合金 |
研究実績の概要 |
核融合炉のダイバータを想定し、平均で10MW/m2レベルの大きな熱流束を小さな温度差で、かつ高温域で輸送する新しい概念の素子の研究開発を実施している。昨年までは、特に最表面で繰り返しパルス負荷を受けるアーマと熱を熱媒体に伝達するターゲット体の接合技術としての水中爆発接合を検討する一方、実際の核融合炉で想定されるELMを模擬した繰り返し熱負荷をレーザーで与え、過渡的に高い熱負荷が及ぼす影響を調べた。この結果、従来考えられていた平均的な熱負荷でも高い先頭値を持つパルスが損傷を与えるメカニズムを見出した。 次に、この熱流束を熱媒体に伝えるためのターゲットには熱輸送量を整合させるために薄肉構造体が必要であることから、銅合金、フェライト鋼、昨年度開発した高熱伝導繊維による複合材のそれぞれで可能な設計領域を見出すとともに、銅合金の使用可能性を指摘した。 一方、ヒートパイプ原理を応用した相変化による熱移送システムを設計し、基礎試験により原理を実証するとともに、総合的な熱移送特性が、液相の移動で制約されることを見出した。 以上から、本研究の最終的に目標とする極めて高い熱移送能力を持つダイバータのエネルギー移行現象を支配する主な要因が摘出され、全体として整合した熱輸送能力により核融合プラズマのエネルギー変換装置としての概念を統合し、設計ウィンドウを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
短パルス熱負荷が特に重要な問題であることを見出し、その影響を解明したこと、および水中爆接法の開発は、当初想定したよりも大きな研究内容であったが、十分な成果が得られた。 一方、YAGレーザ―を用いた熱移送実験で、数値計算と実験のベンチマークを行い、予想以上の成果を得ている。一方、定常熱負荷をイオンビームで与える装置を開発し、総合的な熱輸送現象を観測評価する計画でビームの整備を進めているが、イオン源の出力がまだ十分に安定せず、この部分が若干遅れており、総合的にはほぼ予定通りの進度と言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を総合し、タングステンアーマの接合、高熱伝導材料による薄肉構造、相変化熱移送を一体化したダイバータユニット試験体を用いて、総合試験としてイオンビームによる準定常熱粒子負荷による現象解明とフィジビリティ評価を行う。また短パルスYAGレーザーを用いたELM条件の模擬により、核融合炉で想定される過渡現象を模擬し、有限要素法解析と比較する。アーマから熱媒体への熱輸送部であるターゲットについては、新たに粉末冶金に基づく新型の銅合金で製作し、その熱移送特性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の一部に改良点が見つかり、その改造分を次年度使用額としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
試験体の製作に使用する。
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