研究課題
放電型プラズマ核融合中性子源(IECF)は小型で簡便な中性子源として注目されている。現在、D-D反応を用いて10の7乗(1/sec)程度の中性子を生成できている。より広い応用を目指すには、10の10乗以上の中性子生成率が要求される。中性子生成率を増加させる方法として、燃料として重水素(D)・三重水素(T,トリチウム)の混合ガスを用いることである。しかし、トリチウムは放射性同位元素であり、取り扱いの安全性が課題である。本研究の目的はIECF中性子源でD-T燃料を用いたとき、理論どうり中性子生成の増大が達成できるか、同時にその安全性が確保できるかを実証することである。サエスゲッターポンプにより燃料ガスの供給・排気を行わせる密封型IECF装置を開発した。その装置にD-T混合比93%:7%の燃料ガスを用いて、実験を行った。装置は完全非密封で動作し、中性子生成率はD燃料の約8倍の増加を得た。その増加率は理論で予測される値と一致した。D-Tガス動作のあと、CuOを用いて水素を水(蒸気)に変換し、水バブラーにより回収した。回数率は95%以上を達成し、環境に影響を与えないレベルであることを確認し、安全性が確保できることを実証した。この結果から、D-T混合比50%:50%のガスを用い、フルスペックで動作させることにより、開発した装置で10の9乗後半の中性子生成率が達成できることを明らかにした。課題として、サエスゲターポンプにおいて、大気が混入すればその水成分がゲター内で水素・酸素に分解し、軽水素が燃料ガスに混入し、D-T燃料を希釈させるため中性子生成率が低下する。運転準備段階での大気の混入を防ぐ方策が重要である。また、装置運転中、四重極質量分析器を用いて窒化水素の質量スペクトルからH-D-T存在比を同定する手法の開発に成功した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fusion Engineering and Design
巻: 10.025 ページ: 1,6
10.1016