研究課題/領域番号 |
25289353
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
木倉 宏成 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (00302985)
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研究分担者 |
小池 義和 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30251672)
古市 紀之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (10334921)
村川 英樹 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40467668)
都築 宣嘉 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 特任助教 (50578151)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 計測工学 / 原子力エネルギー / 流体工学 / 超音波 / 流量計測 |
研究概要 |
曲流路後流の探傷式高精度流量計測システムの開発にあたり、超音波センサの最適設置方法、スペクトル拡散法を用いた新しい信号処理およびフェイズドアレイ流速分布計測システム(フェイズドUVP)について検討した。曲流路後流での流量計測では、従来の超音波センサ配置方法よりも超音波センサ数を増加させる必要があり事を明らかにし、同一円周上のいくつかの速度分布計測値からFFT解析することによって最小センサ数を決定する、新しい最小センサ数決定解析手法を考案し、数値流体解析による解析結果と比較することにより本手法の有効性を明らかにした。スペクトラム拡散法を用いた新しい信号処理では、超音波センサの特性やエコー信号の相関処理による影響から、本手法で用いるパルス波は、従来使用してきたトーンバースト波とは音場分布が異ることが考えられるため、自動3次元音場測定装置を用いて、16波トーンバースト、線形FM方式、13bitsバーカー符号および16bitsゴレイ符号等による圧電素子駆動した際に発信される音場計測を行い、有効音波圧力やSN比の変化などを実験的に調べた。また、従来用いられてきたトーンバースト方式では、単一周波数の信号を連続パルスとして狭帯域の信号として発信しているのに対し、周波数変調方式ではパルス内で周波数を変化させることにより広帯域な信号を発信するため、受信した信号に参照波形を用いて相関処理等による整合フィルタを用いて圧縮パルスを得え、窓関数をかけて重み付けをすることにより、時間帯域幅積を低減し、相関関数におけるサイドローブの発生を防ぐ信号処理を検討した。また、流量測定実験のための測定部を製作し、測定線積分法を確立するための水平流路を用いた実験を行うとともに、フェイズドUVPシステムを構築し、フェイズドUVPの計測精度を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイパワートーンバースト超音波送受信器の納品が遅れたものの、自動3次元音場測定装置の構築を早期に行っていたため、16波トーンバースト、線形FM方式、13bitsバーカー符号および16bitsゴレイ符号等による圧電素子駆動音場計測は順調に行えた。複測定線計測におけるFFT解析することによって最小センサ数を決定する、新しい解析手法を考案し論文発表した。また、フェイズドアレイ流速分布計測システムを構築し、学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
スペクトラム拡散を用いた際の超音波の金属壁透過では、壁厚さに対する超音波入射条件の選択が必要であり、最適入射条件は配管壁の材質、厚さおよびセンサの設置角度、発振周波数などが透過率に依存するため、前年度に引き続き、音場予備解析にもとづく透過実験を行う必要がある。また、本流量測定実験には測定部を製作する必要があり、ポンプ、リザーバ・タンク、整流器を含む垂直円管流路および水平曲管流路は現有のものを利用するが、測定部の設計および製作を新たに行う。そして、複数の超音波センサを取り付けた複測定線積分法を確立するため、現有のアクリル製水平流路において実験を行い、複測定線測定では、前年度に開発したフェイズドアレイ流速分布計測システムを用いて計測し、フェイズドUVPの瞬時流速分布の計測データからオンラインで流量を求めるソフトなど流量計測システムとして必要なソフトを整備する予定である。また、フェイズドUVPのドップラ法による信号処理アルゴリズムでは、測定分解能に限界があるため、超低速から超高速まで広範囲に測定可能な位相差アルゴリズムを構築するとともに、現有のフェイズドアレイ装置内の超音波パルサ/レシーバと高速デジタル信号処理装置を用いて、超音波時間領域相関法と位相差法を用いた計測システムを構築する必要がある。なお、実機適用条件の高温条件に適用するためには、超音波センサの基本設計を検討する必要があり、高温計測には、センサに使用する音圧素子の高温対応と、遅延材を冷却して測定する冷却方法を検討するなど、今後の研究を推進していく。
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