研究課題
集光技術の導入によって太陽電池の変換効率向上に加えて材料使用量の飛躍的削減が可能である。本研究では、疑似太陽光あるいは単色光を多接合太陽電池用材料に照射しながらHall測定を実施し、高倍率集光動作時に太陽電池特性の劣化を引き起こす支配的なキャリア散乱機構を明らかにすることを目的として行った。昨年度は1~4 sunの疑似太陽光照射前後のHall測定を実施し、n-およびp-type Siの両方のサンプルにおいて照射量増加によりHall移動度は減少しキャリア濃度は増加することを明らかにした。これらの原因をより詳細に議論するために、平成29年度は光軸にレンズを追加して16 sunまでの疑似太陽光が照射可能なシステムを構築し、Siの他に化合物半導体太陽電池のベース材料であるGaAsをサンプルとして測定を行った。Siサンプルでは、用意した全てのサンプルにおいて照射光量の増加に伴いHall移動度は減少した。16 sunの集光照射においても光照射により発生する2種類の光励起キャリアの増加によりHall移動度の減少を説明することができた。また、集光照射下における不純物濃度ごとのHall移動度を計算した結果、不純物濃度が大きいほど集光照射の影響を受けにくくなることが判明し、移動度低下のない太陽電池に適した濃度は1立方cmあたり16乗であることが示唆された。ただし、サンプル内に発生した光励起キャリアを算出したところ、同じ集光照射量にも関わらずn-type内に形成される電子濃度がp-type内に形成される正孔濃度の10倍であることが分かった。原因は現在議論中である。GaAsサンプルでは、16 sunの集光照射でもHall移動度は変化しなかった。Siと同様に2種類の光励起キャリアを想定した解析を行ったところ、本研究で用いたサンプルの不純物濃度が高く、集光照射の影響を受けにくいことが分かった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 56 ページ: 08MC07-1-5
10.7567/JJAP.56.08MC07
AIP Conference Proceedings(13th International Conference on Concentrator Photovoltaic Systems(CPV-13))
巻: 1881 ページ: 20010-1-20010-5