研究課題/領域番号 |
25289363
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
城間 純 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (00357245)
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研究分担者 |
山崎 眞一 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 主任研究員 (80371087)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レドックスフロー電池 / 燃料電池 |
研究実績の概要 |
本研究は、2種の酸化還元対溶液を循環させて発電するレドックスフロー電池と、それら2種の溶液をそれぞれ燃料と空気との化学反応により再生する再生反応槽とを組み合わせることにより、間接型燃料電池と呼ぶべきシステムを完成させるとともに、そのシステムの優位性を示すためのキーとなるいくつかの課題を解決するためのものである。本年度は、昨年度の到達点である「3重構造セル」を用い、レドックスフロー電池としての安定した繰り返し充放電運転を確立した。3重構造セルの特徴である中央の水素室に関し、常時供給しない運転方法においても、連続供給する従来の運転方法での性能と同等の充放電特性が持続することを確認した。また、メディエーターとして新たにヘテロポリ酸類を用いたところ、従来使用していた活物質に比べ、同等の濃度であっても著しく反応過電圧の小さいものを見いだした。また、レドックスフロー電池の電極はエネルギーデバイスの電極としては厚さが大きく、反応解析としてインピーダンス測定を用いる場合には伝送線モデルに基づく解釈が必要となるが、本研究で、伝送線モデルの理論を発展させ、界面の接触抵抗など境界条件が単純でない系に対する一般解を得た。燃料酸化反応に関し、導電性のない粉体に担持した触媒でメディエーター還元反応を触媒させることができた。また、水素酸化反応を触媒する新規な水溶性の錯体で、高濃度のCO存在下でも機能するものを開発した。酸素還元反応に関し、触媒反応槽および電気化学セルの温度をそれぞれ変化させ、定常的な間接型酸素還元反応電流への寄与を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[新規レドックスフロー電池開発]に関しては、過電圧の諸要因を明らかにすることを最終目標とするが、電極反応過電圧とその温度依存性を明らかにした。[負極電解液用再生触媒開発]では実用化に直接貢献しうるいくつかの要素技術が開発されつつある。[正極電解液用再生触媒開発]に関しては新たな触媒開発には至っていないが、既存の非白金触媒の適用を検討することのできる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
[新規レドックスフロー電池開発]に関しては、SOC(酸化還元の程度)の不一致を検出・修正し安定した定常運転ができるようにする。また、適切な電位のメディエーターを使用することにより、本研究の成果としてインパクトの高い電池系を提示できるようにする。[負極電解液用再生触媒開発]では計画通り多電子反応を進めることができる触媒を開発する。[正極電解液用再生触媒開発]に関しては計画通り非白金化した酸素還元触媒系を完成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたレドックスフロー電池用の電解液循環装置の整備において、腐食性の高い溶液の使用によりポンプ不調(故障)の原因となることが判明したため、使用するポンプの種類を検討中。
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次年度使用額の使用計画 |
ポンプ選定次第、レドックスフロー電池評価系を2系統完成し、研究を加速する。
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