研究課題
本研究の目的は「大脳基底核(以下,基底核)から脳幹への出力は中脳被蓋の脚橋被蓋核領域を介して,脳幹-脊髄下行路に作用する」との作業仮説に基づいて,姿勢制御(姿勢筋緊張や姿勢反射)と随意運動における基底核-脚橋被蓋核投射系の機能的役割を解明することである.平成29年度(最終年度)は次の2項目の研究を遂行した.除脳ネコにおける急性実験では,電気生理学的手法と神経薬理学的手法を用いて,網様体脊髄路による姿勢筋緊張の調節機構と基底核-脚橋被蓋核投射による修飾作用について解析した.その結果,網様体脊髄路による脊髄反射経路への興奮性作用を齎す興奮性アミノ酸はグルタミン酸であること,一方,抑制作用は脊髄内のGABA作動性介在ニューロンとグリシン作動性介在ニューロンを介して誘発されることなどを示唆する成績を得た.特に,GABA介在ニューロンは運動ニューロンにシナプス後抑制を誘発すると共に,感覚線維に対してシナプス前抑制を誘発すること,そして,グリシン介在ニューロンは運動ニューロンへのシナプス後抑制を誘発するが,感覚線維へのシナプス前抑制を誘発しない.また,網様体脊髄路による姿勢筋緊張の調節作用は脚橋被蓋核のアセチルコリンニューロンの活動に依存するので,基底核-脚橋被蓋核投射は,アセチルコリンニューロンの興奮性を調節し,網様体脊髄路の活動を修飾することにより,脊髄ニューロン群(脊髄反射弓)の活動ならびに姿勢筋緊張を制御すること考えられる.慢性無拘束のネコにおいて餌取り前肢リーチングタスクを習得させた.リーチングの標的である餌の空間位置を変化させることにより,ネコは標的の位置情報に基づいてリーチングにおける予期的姿勢調節を学習することを見出した.光遺伝学的手法により基底核-脚橋被蓋核系の機能を選択的に修飾することにより,この姿勢調節がどのように修飾されるのかを来年度も解析する予定である.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 図書 (1件)
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