研究課題/領域番号 |
25290005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
西条 寿夫 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00189284)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 霊長類 / 本能的認知 / 視床枕 / サル / 視覚情報処理 / 表情 / ヘビ / bottom-up性情報処理 |
研究概要 |
1. 膝状体外視覚系ニューロンによる顔属性の識別機構: サルを用いて、視床枕ニューロンを記録し、様々な属性(個人差、男女、顔方向、および視線方向)を有する顔刺激に対する応答を解析した。そこ結果、応答潜時が、大脳皮質より早いことから視床枕における顔情報処理はbottom-upによる神経機構に基づくと推察された。 2.膝状体外視覚系ニューロンによる恐怖表情の情報処理機構: サル視床枕ニューロン活動を記録し、様々な恐怖表情(ヒトおよびサルの中性ならびに恐怖表情、単純図形)に対する応答を解析した。その結果、視床枕ニューロンはこれらの画像に大脳皮質よりも早い潜時で応答し、顔画像をスクランブル化したランダム画像および高空間周波数フィルターで処理した顔画像に対しては応答性が低下したが、低空間周波数フィルターをかけた顔画像には同様に応答することが判明した。これらのことから、膝状体外視覚系が、顔情報の解像度は低いが素早いbottom-up性の情報処理に関わることが示唆された。 3.膝状体外視覚系ニューロンによるヘビ画像の情報処理機構: 本研究では、様々なヘビ画像、それらに空間フィルターをかけた画像、およびそれらをスクランブル化したランダム画像に対する視床枕ニューロンの応答性および応答潜時を解析した。その結果、視床枕ニューロンはこれらの画像に大脳皮質よりも早い潜時で応答し、ヘビ画像をスクランブル化したランダム画像および高空間周波数フィルターで処理したヘビ画像に対しては応答性が低下したが、低空間周波数フィルターをかけたヘビ画像には同様に応答することが判明した。これらのことから、膝状体外視覚系が、同様に解像度は低いが素早いbottom-up性の情報処理に関わることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であるサル視床枕ニューロン活動の記録を予定通り行なうことができた。また、データのいくつかは論文で公表している。
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今後の研究の推進方策 |
サル購入に関して、動物実験施設の認可が遅れたため、平成25年度に購入することが出来なかった。しかし、その後認可がおりたため、平成26年度の4月上旬に購入することができた。今後、所定の計画にしたがって計画を執行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度において動物実験施設の改修があり、その後サル使用許可の認可(環境省、農林水産省等)が遅れたため、サルを購入できなかったためである。 本年(平成26年度)4月に許可証を頂いたので、すでにサルを購入して実験を開始している。
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