研究課題
触覚受容に関わる分子の機能理解を目指し、前年度に引き続き触刺激応答に異常のあるゼブラフィッシュ変異体を解析した。また、前年度に責任遺伝子を同定したRNF121変異体について解析を進め、正常個体ではRohon-Beardニューロンが活動するが、変異体では活動しないことを見出した。Rohon-Beardニューロンを電気生理解析をして、変異体では電位依存性ナトリウムチャネルに異常があり、活動電位を発生しないことを確認した。また、RNF121は小胞体に局在することが分かった。さらにRNF121は電位依存性ナトリウムチャネルNav1.6をユビキチン化して分解を促進することが分かった。電位依存性ナトリウムチャネルはNav1.6以外にScn1bというアクセサリーサブユニットと会合して働くことが知られており、以下の仮説が提唱された。Nav1.6は膜貫通ドメインを24個もつ巨大なタンパクで、タンパク質の折りたたみに異常を起こしやすく、小胞体において一定の確率で折りたたみ異常の不良品となる。RNF121は不良品Nav1.6をユビキチン化し、プロテアソームによる分解へ仕向けるので、正常に折りたたまれたNav1.6だけがゴルジ体へ輸送され、ゴルジ体でNav1.6はScn1bと会合し、細胞膜へ輸送される。しかし、RNF121変異体では不良品Nav1.6が分解されないまま小胞体に蓄積し、これがゴルジ体でScn1bと会合するが、その先細胞膜に輸送されることはなく、ゴルジ体に蓄積することになり、一方でScn1bは不良品Nav1.6に奪われ、結果的に正常に折りたたまれたNav1.6と会合できるScn1bが不足し、Nav1.6を細胞膜へ輸送することができなくなる。このことはRNF121という膜タンパク質がNav1.6に品質管理を行うことを示唆している。この研究は米国科学アカデミー紀要に論文発表された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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