研究課題
一次嗅覚神経回路は匂い情報を空間的に選別して、嗅球に「匂い地図」を作り上げるが、その地図がその後どのように処理されているかは不明である。本研究では、嗅球神経細胞の誕生日の違いを利用することで、二次嗅覚神経回路の分解をめざした。まずそのためのツールとして、神経細胞の誕生日依存的に遺伝子組換えを誘導できるトランスジェニックマウス系統を作成した。神経運命決定に働く遺伝子の中には、神経細胞誕生直後に「一過的」に発現するものがいくつか知られている。これらの遺伝子群のエンハンサーを利用して、タモキシフェン依存型Cre組換え酵素(CreER)の発現を駆動するトランスジェニックマウスを作出した。これらのマウスにタモキシフェン投与すると、ちょうど最終分裂を終えたばかりの神経細胞特異的で、loxP配列組換えを誘導できると期待される。実際、異なる遺伝子エンハンサーを用いて作成した多系統の中から、強力に誕生日依存的組換えを誘導できる系統を複数樹立した。使用した遺伝子エンハンサーごとに組換え領域に特徴があり、今後様々な用途への利用が期待できる有用なリソースとなる。これは予想外の波及的成果であった。作出した誕生日依存的組換え系統を用いて、二次嗅覚神経回路の解析を行った。嗅球特異的プロモーターを用いたレポーターマウス系統も作成し、これと組み合わせることで、嗅球投射神経細胞特異的なの誕生日依存的標識が可能になった。タモキシフェンを注射して、嗅球軸索の投射先を詳細に解析したところ、嗅球神経細胞の誕生日によって異なる軸索投射パターンが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cerebral Cortex
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doi: 10.1093/cercor/bhu129
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