研究課題/領域番号 |
25290012
|
研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
窪田 芳之 生理学研究所, 基盤神経科学領域, 准教授 (90192567)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 抑制性シナプス / 可塑性 / 大脳皮質 / 錐体細胞 / 興奮性シナプス / in vivo imaging / gephyrin / PSD95 |
研究実績の概要 |
マウスの胎生期16日の胎児の大脳皮質前頭部に、3種類のプラスミドを電気穿孔法(エレクトロポレーション)で入れて、出産させた。それらのプラスミドは、2/3層の錐体細胞をYFPで標識、興奮性シナプス後膜物質PSD95をteal (CFP)で標識、抑制性シナプス後膜物質gephyrinをtdTomato等の組み合わせにより異なる蛍光蛋白で標識するように設計したコンストラクトである。生後49日までに、大脳皮質一次視覚野上の頭蓋に穴を開けカバーグラスで覆ったcranial windowを作製し、上記3種類のコンストラクトでラベルされた神経細胞の樹状突起を、2光子顕微鏡下で10日間にわたり毎日1回in vivo観察し、2/3層の錐体細胞の樹状突起上の興奮性シナプスと抑制性シナプスの構造的な可塑的な動態を検討した。その結果、棘突起にある抑制性シナプスが同じ位置で出現したり消失したりを繰り返す現象を認めた。その現象は、ターゲットの棘突起のサイズとシナプス面積が膨大化するという興奮性シナプスのダイナミックな構造的可塑性とは大きく異なる抑制性シナプスに特異的な可塑的動態と考えている。その棘突起には、視床-皮質投射型興奮性シナプス入力があり、安定して存在する事を観察により確認した。以上のin vivo imaging結果がシナプスの動態を反映している事を証明するため、in vivo imaging 観察後、動物をかんりゅう固定し、脳を組織処理して電子顕微鏡で同一部位を観察した。In vivo imagingでラベルされていた場所は、電子顕微鏡観察によりシナプスである事を確認した。この抑制性シナプスの特異的なon/off動態は、その興奮性入力を選択的に抑制する事をリバーシブルにon/offする機能的な可塑的変化を神経回路が必要としている事のあらわれであろうと推測できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した実験計画を着実に実行し、成果をあげる事ができた。従って、本研究は、概ね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたり、本研究のまとめとして、申請書に記載したがまだ完了していない実験計画に今後は取り組み、成果をあげることを計画している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
基金は、年度末から次年度にかけて注文し納品する事が許される使いやすいメリットがある。その恩恵を最大限生かして、平成27年度末にPC等の機器を注文した。その品目の納品が遅れて、新年度になってしまった。その影響で、平成28年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
すでに、ほぼ全ての注文した品目が納品されており、実質的に平成28年度使用額はわずかになった。この額に関しても、早急に使用する予定である。
|