大脳皮質はヒトが生きて行く上で必要な脳機能を司る。しかしながら、その局所神経回路の構築はいまだ謎のままである。本研究では、電子顕微鏡観察により、ラットの5層の錐体細胞に入力するシナプスを定量的に解析したところ、約2万個のシナプス入力があることを推定できた。それらのうちおよそ2割は抑制性の入力であるが、抑制性シナプスの大きさはターゲットの大きさに依存しており、効率的な抑制効果をターゲットにもたらしていることが想像できる。また、棘突起に入力するものは出現消失を繰り返すものがあり、可塑的に興奮性入力を調整していると考えている。固定的な神経回路は常に可変的変化を示していることを示唆する。
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